aoilogo2018年8月藍生主宰句
山百合忌
黒田杏子


  六月二十二日 金子兜太先生お別れ会 東京有楽町マリオン朝日ホール 五句
お別れにみんなあつまる梅雨の晴
TOTA兜太と集ひくる梅雨晴間
俳句一本オレが俳句だ夏至だ
八百余名献花して涼しかり
梅雨満月津々浦々に兜太ファン
  七月五日 句集『ひとり』の世界 「NHK俳句」収録 寂庵行 十三句
まみどりの豪雨佛餉田寂庵
閂を引く青梅雨の森の木々
青梅雨の嵯峨野僧伽のとりけもの
深山幽谷大白雨微笑佛
青梅雨の森のどこかに寂聴師
拭きあげられし寂庵の夏座敷
梅雨の蝶避難寂庵勝手口
眉整ふる青梅雨の俳諧師
洪水情報尼様はご執筆
どどと青梅雨尼御前の筆一本
顔施顔施寂聴尼梅雨説法
シャンパンと冷菓雨音とどろける
荒梅雨の歓喜筆塚微笑佛
  七月三十一日「山百合忌」。社会学者であり「心の花」拠る歌人であった鶴見和子を語り学ぶ会として、毎年忌日に山の上ホテルに集う。美智子皇后も毎回のように参加される。
   本年は和子さん生誕百年となる。例年献杯の音頭をとられた一歳年少の兜太先生不在。黒田は「山百合忌」の命名者。司会進行を担当。参加者は全国から。主催は藤原書店。二句。

佐佐木幸綱名講義山百合忌
女書生老婆山姥山百合忌


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