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黒田杏子
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初夢の月巨きかりまぶしかり 屠蘇風呂を出てあらたまる身とこころ 安眠の冬眠に似る二日かな 寒月の径音たてて散る椿 足摺の寒月光を徒遍路 あらたまの足摺月の岬なる 補陀落東門冬満月天心 師走満月碑林曼荼羅直下 足摺野地菊命名者富太郎 常温の酒は黒帯かぶらずし とくとくと酒は常温かぶらずし お餅きて雪大根のきて安堵 生涯のふたり暮しの年用意 考へることもたのしみ去年今年 年守る老人われら喧嘩せず 霙るると秩父音頭を唸り出し 選句させて頂く月冴ゆる夜を 式根島より明日葉と雛百句 雛の句選み選みて傘寿われ |