aoilogo2018年12月藍生主宰句
日の障子
黒田杏子


富士冠雪新米の炊き上り
野分熄む輪島に戻る漆師
  小千谷市の山本さん 二句
離農とは田を渡すこと夏の果
山本浩これが最後の今年米
  市川市の旧宅にて 二句
読み返す葛籠の封書十三夜
杳き日の葉書一束十三夜
  十月二十一日 山あげ全国俳句大会
山栗のごろごろおこはお赤飯
那珂川のうなぎ蒲焼子持鮎
那珂川も渡良瀬川も十三夜
栗ごはん炊かんとすれば松茸来
終岩魚終松茸今年米
ひひらぎの花十一月朔日
ひひらぎの花雲水の佇たれけり
  十一月一日 渋谷さくらホール
金利惠の舞ふ大鼓打つ神の留守
日の昇りくる縁側の白障子
老女一人障子を貼つて甦り
白障子無し仏壇も神棚も
障子貼らぬをんなこの世に存へて
障子無き七階に棲み老いけらし
単立寺院寂庵の日の障子


戻る