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黒田杏子
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富士冠雪新米の炊き上り 野分熄む輪島に戻る ![]() 小千谷市の山本さん 二句 離農とは田を渡すこと夏の果 山本浩これが最後の今年米 市川市の旧宅にて 二句 読み返す葛籠の封書十三夜 杳き日の葉書一束十三夜 十月二十一日 山あげ全国俳句大会 山栗のごろごろおこはお赤飯 那珂川のうなぎ蒲焼子持鮎 那珂川も渡良瀬川も十三夜 栗ごはん炊かんとすれば松茸来 終岩魚終松茸今年米 ひひらぎの花十一月朔日 ひひらぎの花雲水の佇たれけり 十一月一日 渋谷さくらホール 金利惠の舞ふ大鼓打つ神の留守 日の昇りくる縁側の白障子 老女一人障子を貼つて甦り 白障子無し仏壇も神棚も 障子貼らぬをんなこの世に存へて 障子無き七階に棲み老いけらし 単立寺院寂庵の日の障子 |