aoilogo2017年6月藍生主宰句
余花白し
黒田杏子

皇后のりの深し初櫻
初櫻父に愛され母に愛され
  秩父久月観音櫻行 七句 四月十一日
無住寺に櫻を植ゑて存へて
さくらさくら人寄せてこの世のちの世
花の雨この山の雨まみどりの
幼ななじみのみんな来る花の山
櫻守新井清と申さるゝ
人寄せてしだれ櫻の里といふ
なつかしきこの世なりけり花の友
  秩父荒川清雲寺の櫻 四十五年ぶりに再訪 三句 四月十二日
雨音にしだるゝ花のひかりかな
雨激しくて花満ちて光り合ふ
雨音のあふるゝしだれざくらかな
深く睡りてこの世なる花の雨
花巡るいつぽんの杖ある限り
待てば来る知覧の新茶まづ供ふ
新茶供ふる於面影の若ければ
傘寿なる樺美智子に古茶新茶
かげろふや長寿者といふ孤独びと
長寿者の孤独地獄を百千鳥
  そののちの高田さんに
なかんづく孝女正子に余花白し


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