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黒田杏子
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皇后の![]() 初櫻父に愛され母に愛され 秩父久月観音櫻行 七句 四月十一日 無住寺に櫻を植ゑて存へて さくらさくら人寄せてこの世のちの世 花の雨この山の雨まみどりの 幼ななじみのみんな来る花の山 櫻守新井清と申さるゝ 人寄せてしだれ櫻の里といふ なつかしきこの世なりけり花の友 秩父荒川清雲寺の櫻 四十五年ぶりに再訪 三句 四月十二日 雨音にしだるゝ花のひかりかな 雨激しくて花満ちて光り合ふ 雨音のあふるゝしだれざくらかな 深く睡りてこの世なる花の雨 花巡るいつぽんの杖ある限り 待てば来る知覧の新茶まづ供ふ 新茶供ふる於面影の若ければ 傘寿なる樺美智子に古茶新茶 かげろふや長寿者といふ孤独びと 長寿者の孤独地獄を百千鳥 そののちの高田さんに なかんづく孝女正子に余花白し |