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黒田杏子
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漂泊の指揮者のしばし花の山 志摩町の浜口さんの青蓴籠 母の日や花籠ひとつわたくしに 式根島新五郎詰浜防風 風五月行き交ふひとのみな和服 初虹の下ゆつくりと急がるゝ 旧き友より玉手箱木の芽炊 笹百合の莟を選りて一束ね 梅雨の雷などにもふつと励まされ 石垣市 新垣幸子さんを訪ねて 二句 ごまだら蝶八重山上布織り上り 八重山の夏蝶森の径ふさぐ 選句完了土佐文旦剥かな 蟻地獄疎開児童の暁の夢 草笛を吹く洗濯を終えし母 卓袱台をたためばほたる二つ三つ 乱鶯ののち三光鳥三光鳥 麦秋や寂かに生きて句を敲き せめてこの梅雨蜩を聴き発てよ 世を終ふ人の句ただす梅雨の月 聖路加国際病院にて 小田さんと林京子を語りし夏 |