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黒田杏子
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高野の石楠先生 書画器物佛像硯紅葉冷 新巻を配り終へたる夜のふたり 乾鮭の鹹し旨しと空つ風 新巻をよろこぶ従姉妹みな長命 寒気りんりん長寿那須野ケ原の姥 こんなにも仕事が出来て十二月 みな過ぎて井戸のほとりの竜の玉 お見送りして御名を消す十二月 十二月兄のカルテを祀る日も 生きて在りひとりひとりに賀状書き 急ぐことなし寒卵かけごはん 初日待つ津々浦々にわが同志 あらたまの星永さんも宮様も 晶子さん急逝 二句 絶筆の句友の賀状なり飾る 空席は河村夫人初句会 透析者君が一句を読始む 高橋一清さん 二句 ことしまた賜ふ松江の冬牡丹 ひらきゆく真冬の牡丹牡丹いろ 桑名 横山笑子さんは 豊漁の白魚さつと炊きました 晩年の友情のいろ竜の玉 |