aoilogo2017年2月藍生主宰句
真冬の牡丹
黒田杏子

  高野の石楠先生
書画器物佛像硯紅葉冷
新巻を配り終へたる夜のふたり
乾鮭の鹹し旨しと空つ風
新巻をよろこぶ従姉妹みな長命
寒気りんりん長寿那須野ケ原の姥
こんなにも仕事が出来て十二月
みな過ぎて井戸のほとりの竜の玉
お見送りして御名を消す十二月
十二月兄のカルテを祀る日も
生きて在りひとりひとりに賀状書き
急ぐことなし寒卵かけごはん
初日待つ津々浦々にわが同志
あらたまの星永さんも宮様も
  晶子さん急逝 二句
絶筆の句友の賀状なり飾る
空席は河村夫人初句会
透析者君が一句を読始む
  高橋一清さん 二句
ことしまた賜ふ松江の冬牡丹
ひらきゆく真冬の牡丹牡丹いろ
  桑名 横山笑子さんは
豊漁の白魚さつと炊きました
晩年の友情のいろ竜の玉


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