![]() |
|
黒田杏子
|
七月九日 アビゲール不二さんに 還暦と喜寿のわれらに虹の橋 深大寺にて三句 滑空の鴉おほむらさき咥へ 世に出でしおほむらさきを鴉呑む 真清水の香のなつかしき深大寺 電話受くほほづき市に集合と あふれくる四万六千日の闇 梅雨の星剪つてくださる足の爪 七月二十四日土佐びとの今年米 七月二十四日 鶴見和子・俊輔氏を語り 満員札止山百合忌第十回 山百合の香のなみなみと姉弟 若井新一丹精のこの初茄子 函あけて十全茄子の棘も紺 朝採りの十全茄子のぴかぴかと 採りたての一番茄子の光り合ひ 句を作る茄子を育てて米作り 茄子紺といふはこの色まぶしみぬ 焼いて煮て揚げて十全茄子の紺 山の上ホテル「山の上」七十八歳となる 八月十日いつきさんと祝杯 いつきさん兼光さんと居て涼し すつぴんの夏井組長冷し酒 |