2016年5月藍生主宰句 |
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黒田杏子
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横山笑子さん 初糶の白魚を炊く割烹着 小森邦衛さんの 春雪の輪島を発ちてきし句稿 二月二十五日 茂吉龍太両師の忌日星あふれ 藤田翔青さんに三句 翔青ご一家丹精の釘煮享く 一致団結藤田家の釘煮どき 藤田家の絆いよいよ釘煮の香 キーン先生より新著大冊の『石川啄木』を賜る 啄木のローマ字日記囀れる 謹呈者ドナルド・キーン啄木忌 ピクルスに加ふる那須野春香独活 忘れ得ぬ情景 三句 佐渡小木の波の形見の櫻貝 櫻貝時宗の寺の小机に ぎつしりと瓶の口まで櫻貝 夢の中なり 三句 音たかく火の香水の香花篝 菊櫻花辨三百余のその香 雲雀啼くひもじき兄と那須の山 そろそろと花の都を徘徊す さくらさくらさくら人波に呑まれ 無縁坂講安寺様花三分 花の世の花の夜なり二人なり 本郷の椨の並木のおぼろ月 |