aoilogo2015年10月藍生主宰句
邯鄲の草籠
黒田杏子

  兜太先生と四月二十九日 世田谷文学館 三百余名
戦場の語り部として昭和の日
  兜太・杏子公開対談 六月二十一日「信州岩波講座 松本」千七百余名の大入り満員
一行の詩の無尽蔵梅雨の月
  七月三日「件」の会 みなづき賞 山の上ホテル
さくらんぼその大枝を受賞者に
  七月二十八日 向島百花園にて 二句
五時前集合墨田朝顔愛好会
みんみんの真下団十郎ひらく
国会へ老女一人黒日傘
  七月三十一日「鶴見和子を語る 山百合忌」第九回
  例年の通り司会をつとめ鶴見俊輔先生に黙祷を捧げる
野村四郎師舞納む山百合忌
この忌日修しわが夏果てんとす
  七十七歳。恒例 老舗のうなぎ屋に集まる
大江戸の二階八月十日の夜
  体調異変。八月十四日夜聖路加国際病院に緊急入院。すべて細谷亮太医師の指示、
  お手配による。以下の句すべて隅田川のほとりの同病院内での作品
小説を書く看護師と夜の長き
永さんの土曜ワイドの終戦日
  日野原先生 十月四日バースデーを迎えられると
天高し白衣のひとの百五歳
川音のきこえねど月照りわたり
  収穫。杉山久子句集
とほき世の杳き泉をひとり聴き
邯鄲の草籠一夜わが個室
ゆるやかに海となりゆく月の川
夢にきし阿修羅の還りゆく月夜
選句して選評をして野分聴く
北窓の身に沁む天のひかりかな
邯鄲の宵暁の音なりけり


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