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黒田杏子
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年暮るる藜の杖を贈られて 手紙書き切手選り年惜しみけり この一日惜しみて年を惜しみけり 坂本宮尾さんに 極月の月満ちにけりわが句友 みそさざい聴きとめてあかときの夢 兄に供ふる晩白柚冬の梨 柚子湯して来る年の夢ふたつみつ 雪吊の鳴る天皇の誕生日 「件」一行沼津へ 女ざかりの妻連れてすす逃げか 向島百花園恒例宮中への 一対の献上七種籠あをし 松江の高橋一清さんより寒牡丹の鉢賜る 七句 ひらかんとして初日享く寒牡丹 のぼりくる日に寒牡丹香を放つ 寒牡丹宮之内志野立姿 富貴これ食卓の辺の寒牡丹 寒牡丹友情二十五周年 寒牡丹月光あをき七階に かさと崩落寒牡丹灯を消せば 父のきて田鳧もきたる夢はじめ 小声なるをとこの仕切る初句会 ゆつくりと喜寿へいそがむ切山椒 |