aoilogo2014年8月藍生主宰句
螢籠
黒田杏子

朗読のおくのほそ道夕螢
父帰る提げて麦わら螢籠
くろばねや夏至の川風夕螢
箒川那珂川平家螢川
ほうたるを待ちて媼と女の子
螢くるぬか漬の紺益子鉢
一燈を消す夕蛍螢青螢
疎開せし川岸の家夕蛍螢
たそがるる那須野ヶ原の夏至螢
青蚊帳を吊る螢火を満たすため
螢火のまばゆし男梅雨熄みて
雷鳴の西にのこれる螢狩
螢火や浜崎浜子出井孝子
かなしみに遅るる岸の夕螢
雨の夜の螢の宿の床柱
螢火のやうな一生と申されし
遡る四万十川の螢舟
  その昔 堀文子画伯のアトリエに泊めて頂き
螢火微塵トスカーナアレッツオ
  アビゲール不二氏 ご母堂 帰天
玲瓏の一声真夜をほととぎす
  飯田秀實・多恵子両氏に。設立を祝す
山廬文化振興会螢篭


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