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黒田杏子
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朝櫻めじろ科めじろめじろ押し 花満ちてどこへもゆかず本読んで 四月一日 浜子先生 休診一年 はれやかな微笑まばゆき白牡丹 かがやかに記憶の廃墟花の雲 満開と句碑の寺より花便り 四月十二日 村重尚さん 瑞光院真阿尚道居士 存分に生きたる君に百千鳥 壺すみれにも花びらの散りかかり 四月二十八日 出井孝子さん お別れ会 永訣の一花大輪黒牡丹 独居老人端座して菖蒲酒 初摘みの五條の柿の若葉ずし ちちははの在りし那須野の初蛙 一籠にこごみたらの芽こしあぶら 青嵐白塔といふ旧き句座 風の館オールドローズの館 水茄子の藍とさみどり朝ごはん 紅粉花百茎月山の麓より 伽羅蕗を小筥に詰めて能登の人 青梅雨を聴き手紙書く切手選る 六月十日 歓談 朗読者加賀美幸子氏麻生成 きのふけふあしたあさつて梅雨夕焼 |