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黒田杏子
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年末に松江の高橋一清さんより見事な牡丹の鉢を賜る 寒牡丹莟に紅のさしそめし おだやかに身に痛みなき大旦 牡丹のひらかんとして初日浴ぶ 初日享く座して巨きな初日浴ぶ 讃州 大窪寺 初夢に八十八番結願所 初夢の母と句集のことすこし 久保田淳先生より新刊の岩波版をお贈りいただく 讀初の文庫西行全歌集 賀状千通拝し終へたるふたり 捨つること愉しくなりし四日かな もの捨てて捨てて書初の一間に 寒に入る莟の数を鉢牡丹 寒に入るわれ坂東の結願者 しづしづと寒の牡丹のひらきゆき お命日ふゆるよ狐火のふゆる 牡丹の花芯にかつと七日の日 寒牡丹赫赫七種粥熱し 富貴の花百花の王者寒牡丹 一月十五日 四句 寒牡丹寒満月をよろこびぬ 寒の月満ちて牡丹のぼたん色 牡丹繚乱寒満月寂莫 寒月の満ちて牡丹のひらく家 |