aoilogo2013年11月藍生主宰句
一遍忌
黒田杏子

  八月二十四日 野の民族学者
涼気一陣谷川の天に消ゆ
蟲の音を聴きわけて年重ね合ふ
つゆ草と銀水引と刈萱と
  五十嵐秀彦第一句集
つゆ草の露の一輪無量光
待宵の月まぶしみてかなしみて
剪り挿して月の芒のひらきつぐ
  浅井敏子さん
もはや名人大栗の渋皮煮
天心の月流失す焼失す
月高くなりし机上に棺一基
        *大道寺将司全句集
姉妹弟います月今宵
十六夜の天心になほ雲拂ふ
  松山道後行 三句
一遍七百二十五回忌寳巌寺
灰燼に帰したる安堵一遍忌
生存者長岡和尚一遍忌
  中村苑子先生 十三回忌
彫漆小筥のとどく秋彼岸
            


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