aoilogo2013年12月藍生主宰句
福島の林檎
黒田杏子

  九月二十三日皆野町行「兜太先生誕生日祝賀句会」選者講師として、
   熊谷より金子真土さんのご案内で旧道をゆく。四句
兜太待つ秩父往還まむし谷
秩父往還跳梁の蛭蝮蛇
冬眠なんざしませんや蝮蛇跳ぶ
野山谷秩父一円曼珠沙華
鷹柱般若心経奉る
山栗は全部拾っておばあさん
鳥渡るむかしわたくし山ガール
厭離庵寂庵灯る野分かな
柿をむくしづかな音にちちとはは
遊行者の遺影のとどく一遍忌
一遍さん不在富士柿百匆柿
秋刀魚焼く阿波のすだちのあるかぎり
命日の母いちじくの煮上がる香
  十月二十日午前十時三十八分 長逝と
雨音の十月櫻天野さん
福島の林檎をけさも絞りけり
            


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