aoilogo2012年10月藍生主宰句
蛇笏忌
黒田杏子


  七月三十一日 鶴見和子さん七回忌 山の上ホテル
山百合のひらきつぐ香を山姥忌
炎ゆる炎ゆる七十四の顔洗ふ
遊行柳に炎ゆる香を出穂の波
松葉川那珂川箒川晩夏
八溝山より雷鳴ごろろ花火川
  今野志津子句集『桂花』に
淨書して序文一本盆の月
昼寝覚巨いなる塔眼の端に
  八月二十三日 三句 野尻命子さんと山廬行
風炎ゆる宋淵老師書椿花居士
白木槿山廬の床にひらき散り
遺されて白炎天によろめきて
糸瓜忌のあしたの水をとり供ふ
月山山頂銀河濃し星座濃し
おくのほそ道六百里銀河濃し
銀河濃き村に育ちてながらへて
  十月三日
蛇笏忌の果なき銀河山河かな


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