2011年7月藍生主宰句 |
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黒田杏子
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桑の実を両の手に享け巡礼者 衣更へて茶汲婆さん七十二 紅さして梅の實のあを冥かりし お柩に佐渡風鈴を沈めけり 草を引くテレビを消して草を引く 新茶供ふる水底の言霊に 伽羅蕗も炊き上りしと輪島より 揚げませうこごみ山独活こしあぶら 余花に遭ふゆるやかに死にいそぐとき 旅の日暮の青蘆と青鷺と 青蘆の暮るる青鷺ぽつねんと なかんづく江戸風鈴を好まれし 風鈴をはじめて聴いたときいくつ 葛飾の風鈴売はもう来ない 水葬者鬼となるべし旱星 |