![]() |
|
黒田杏子
|
お櫃にはそら豆ごはん雨の音 「音禪法要」大徳寺法堂 万緑や一山の僧虚空会に お祝の青梅のこのシャーベット 枇杷熟れて杏の熟れて生還す 千本の葉櫻を打つ雨の音 雷さまの去りゆく那須野白雨よし 雷さまをたのしむ一家晩ごはん 雷さまの那須野ヶ原を小学生 釣忍にも水打つてほたる待つ 郭公と啼き郭公とまた応ふ 六月四日 ― 六日 高野山行 四句 またたびの白葉卯の花白き蝶 青梅雨の高野たそがれ鐘わたる 靴紐を結ぶ高野の蟻の前 梅雨のひかりを燈籠の無尽蔵 みなづきや師恩いよいよまみどりに |