aoilogo2011年3月藍生主宰句
出羽三山寒稲妻
黒田杏子

大鳥居まではたしかに雪をんな
飛ぶがごとく舞へるがごとく雪をんな
もとよりの独行独歩雪をんな
振り向かぬ母より勁し雪をんな
氷紋蹴つて月山駈くる雪をんな
雪囲して斎館の白障子
雪をんな五重塔を恃みとし
走り去る一瞬雪をんなぬくし
霧氷樹氷凍る轍に玉霰
天上に母送りけり雪をんな
寒稲妻燭の芯切りにけり
氷柱氷柱稲妻は蒼いスカーフ
鶴岡を発つ夜汽車の灯雪をんな
本当は自分が怖い雪をんな
雪をんないづくへ俵雪燦燦


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