aoilogo2008年10月藍生主宰句
真夜中の月
黒田杏子

  一遍忌一遍像を拝しけり
 遊行者の群月越ゆる雁の群
 秋のほうたるあゆみだす一遍像
 地震豪雨大嵐出水一遍忌
 野ざらしの骨人の骨月に雁
 待宵の道後一遍誕生寺
 月過ぐ雁をどり念佛衆睡り
 一遍知真七百二十回忌銀杏降る
 あゆみやまざる御眼野分星
 絵巻翔ちたるかりがねか月を越す
 雁を待つ雁の里親二十年
 うすれゆく傷みかりがね月を越ゆ
 ちちはは兄雁ゆく月の国に棲む
 真夜中の月みちのくへ阿弥ごろも
 かりがねや聖絵といふ一代記 


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