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黒田杏子
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夏至の風遊行柳のそのほとり 雲巖寺さまに棲みつく三光鳥 月星日ほいほいほいと雲巖寺 ほととぎす啼き去ればまた三光鳥 紅粉花百本月山の麓より 部屋ごとの瓶水上ぐる紅粉の花 紅粉花ひらく卓合歓ひらく窓辺の木 乾きゆく紅粉花百茎の草の香に 青鷺のあをきガウンの背中かな ひとり棲む寂信翁と青鷺と 鶴見和子さん三回忌 山のホテル 七月二十六日(土)夕刻より 生誕九十年すずしきこゑをなつかしみ 夕顔のひらきてふたり棲みふりて 小田実遺作「河」全三巻完結 夕焼大河寂かに秋の海原に 秋立つと膳所の翁に詣でけり 八月十日 ちちはは兄亡くて古稀暁蜩 |