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黒田杏子
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大雪の障子貼りかへたるあした 綿虫の床拭きあぐる高野山 綿虫ののちの高野の月まどか 十二月八日「句集成」を墓前に 大白鳥天をゆくこゑ青邨忌 枯野人われになじみし布鞄 関東も北の育ちよ虎落笛 あゆみつづける狐火を眼の底に 小春日の縁側に如くものはなし 寒月や古希へ道草遠廻り 小春日のなかの小春日おばあさん 車椅子で「あんず句会」に 納句座翔青ゆたか到着す 徐々にわれもいつか高野の枯野人 枯るる高野のあかときを星座揺れ 道後宝厳寺 あゆみやまざるおんまなこ十二月 大晦日ころり往生大往生 |