aoilogo2007年10月藍生主宰句
月に棲む
黒田杏子

乾し上がりたる梅の香をよろこびて
朝顔の紺漬上がる茄子の紺
夜の秋の役者顔なる料理人
本積んで崩れ邯鄲棲みついて
 七月三十日
小田実死す夏果ての午前二時
夏果の暁闇ほたる流れけり
秋蝉のこゑとなりゆくあしたかな
 七月三十一日 通夜 用賀会館
夏終る柩に睡る大男
玄順恵小田なら献花夜の秋
ドナルド・キーン加藤周一遠き蝉
行進者鶴見俊輔雲の峰
 八月四日桐ケ谷斎場
夕焼けて骨壺に入る喉ぼとけ
法師蝉ひぐらしひとは一度死ぬ
小田実夫人純白曼珠沙華
月に棲む俳句少年小田実


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