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黒田杏子
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雨にひらける桔梗と仙翁花 ほたる火や島に世阿弥の坐り石 ほたる火や人に死に時訣れ時 ほたるとぶちちははのかほ兄のかほ 白地着て出る大川のほとりまで 青梅雨を聴く向島百花園 七夕の竹伐り出だす百花園 祝直木賞「川上」さんに けさひらく大山蓮華父と娘に 虹二重新七今朝子東山 辣韮も七瓩漬けしむかしかな 盆波を雨の佃に見て暮るる 母とこの初ひぐらしを聴きし宿 野上・白洲・鶴見お三方の系譜は 山姥の弥生子正子和子涼し すこし冷やす二合の酒のふたりにて 金剛峯寺奥の院日野西眞定維那さま 献灯の暁ひぐらしの天地かな |