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黒田杏子
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日脚のぶまたたびをんな川を跳び 切りわけてこれは輪島の丸柚餅子 わが庭に青邨先生遺愛の ひらきつぐ雑草園の雪椿 松過ぎの白菜漬けの香なりけり 紐かけて捨てて火にくべ日脚のぶ アビゲール不二と墨書の寒見舞 寒鱈の真闇のひかり発しけり 素心 梅寂庵の香なりけり さるお方の 卒寿より百寿へ寒満月の道 白塔句会は五十余年の歴史を刻む われら旧き句座につどいて寒明くる 夢の奥まで両神山の節分草 立春大吉紫野眞珠庵 吉徳ひな祭俳句大賞も二十三回となる 雛の句の葉書の束の無尽蔵 お白酒白寿のひとに奉る 書きて読む砦一間の春炬燵 |