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黒田杏子
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十一月十九(日)坂東吟行 清水寺(千葉) 着ぶくれてこの夜に祷ることひとつ 祷りけりはせを忌の燭ふやしては 亡きひとのこゑと祷りぬ初しぐれ 十一月二十四日(金)「あんず句会」。二昔前発足の日も十一月なれば いくたりのこゑの名残りの照紅葉 冬麗の句座を発ちたるひとのこゑ 紅葉照る寂信さんと二十年 閂のはづされてあり綿虫に 綿虫の縦横俳諧の自由 十一月二十八・二十九日「湖想庵吟行句会」 五句 葭枯れてゆく塵もなき湖想庵 柚子湯して位牌の妻にお辞儀して みづうみの冬満月に茶を献じ 机ひとつ寝台ひとつ冬の月 冬深みゆく月光の湖想庵 その昔二十代の終りに 襟巻の師に許されし再入門 木々紅葉して白川静大人惜しむ |