aoilogo2007年1月藍生主宰句
襟巻の
黒田杏子

    十一月十九(日)坂東吟行 清水寺(千葉) 
  着ぶくれてこの夜に祷ることひとつ
  祷りけりはせを忌の燭ふやしては
  亡きひとのこゑと祷りぬ初しぐれ
     十一月二十四日(金)「あんず句会」。二昔前発足の日も十一月なれば
  いくたりのこゑの名残りの照紅葉
  冬麗の句座を発ちたるひとのこゑ
  紅葉照る寂信さんと二十年
  閂のはづされてあり綿虫に
  綿虫の縦横俳諧の自由
     十一月二十八・二十九日「湖想庵吟行句会」 五句
  葭枯れてゆく塵もなき湖想庵
  柚子湯して位牌の妻にお辞儀して
  みづうみの冬満月に茶を献じ
  机ひとつ寝台ひとつ冬の月
  冬深みゆく月光の湖想庵
     その昔二十代の終りに
  襟巻の師に許されし再入門
  木々紅葉して白川静大人惜しむ


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