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黒田杏子
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夜の明くる前極月を鉦叩 極月花火よろこびもかなしみも 雛の句選み了へたる暁を雪 柱あり冬日あまねき廊下あり 水仙の間と臘梅の間とありぬ 冬の日や眼を閉ぢてひとなつかしみ おくれてその悲報に接す 雪中の臘梅を剪る愛子さん 雪の香の臘梅の香のゆきわたり 向島百花園にて 四句 しのぶ塚きやうげん塚や寒詣 大寒や戦火を浴びし福禄寿 兄ひとり発ちたるふゆのはなわらび みつまたの莟この世を照らしけり 逢ひ訣れ逢ひ訣れ雛飾りけり 遍路吟行満行の雛祀りけり 雛の間に母のごとくに手を合はす |