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黒田杏子
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小六月父をおもへば母をおもへば 返り咲く櫻木東京にあまた 縁側のあり霜晴の障子あり 慶事相次ぐお方は 二句 冬眠なさらぬ秩父産山親父 いよよ炎上極上秩父夜祭 獅子柚子を煮て観音のみほとりに 小林奈緒美さん 型をとり羊皮手套を縫ひ呉れし この年送らむ働いて喧嘩して 睡って起きて書きて読み年つまる なつかしき土佐寒蘭の延光寺 四万十川の 塩鮎といふ煮びたしの子持ち鮎 お四国を恵方と仰ぎ詣りきし 初夢の母の羽織をなつかしみ 羽子板と手毬集まりすぎし家 年ごとに新作の 七種の粥祝ふ碗百花園 |