2005年6月藍生主宰句 |
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黒田杏子
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終の栖を花に発つこころざし 蝶の昼句帖の余白花の昼 春雷ののちかつと照る机かな 花を待つ雪国びとに書く便り 働いて睡りてふたり花を待つ 哭きがほのひとつやふたつ花を待つ ほんたうの不幸を知らず花を待つ 花を待つ死者の購めし歎異抄 朝櫻三光鳥のこゑのこり 今井豊さん手術成功。西東三鬼賞も受賞 生還の一人書写山の朝櫻 花に紛れ闇に紛れ我に逢ふ 巡り辿れる花冷の夜の鈴 ゆっくりと渡りきるまで花の闇 一介の老女一塊の山櫻 花に逢ふ眼のふたつありて老ゆ |