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黒田杏子
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手袋を六つ失くして冬終る 節分草ここそこ若き母のこゑ 吉徳 山田徳兵衛さんと 立雛にも一献を宵節句 初蝶の白鬚橋をめざすべし 村田英尾先生 三月二日長逝 花を待つお顔そのまま微笑佛 三月五日・六日 遍路吟行 阿波十二番 春雪列島焼山寺櫻榾 雪解谷よりあかときを雉子のこゑ 死者のかほ熾となりゆく櫻榾 うっとりと炎にくるまるる櫻榾 火を浴びし修二会の椿一枝享く 修二会果つ墨筆一心堂主人 三月十八日 あんず句会 この日は祥月命日の 春霰深草元政上人忌 さらに〆切間際の句座に会員酒井章子さんの逝去の報もたらさるれば 春霰春虹旅路浄めつつ 三月やあめつち火の香炎の香 つくし煮て師に供へ父母に供ふる |