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黒田杏子
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梅ひらく根榾をくべて惜しみなく 削り花うつばりに闇押寄する 大寒の蔵元仕込水甘し *小川町の地酒三銘柄 帝松晴雲武蔵鶴寒九 旅館「二葉」 夜の梅忠七めしをさらさらと 坂東の深き枯野にまぎれゆけ 都幾山の枯れつくしたる観世音 寒詣ひとりひとりの御名唱え 巡り巡れる山姥に大枯野 本田正四郎さんお見舞い 寄書の七十余名寒見舞い 寒漉の和紙ひろびろと余白なし 小川町細川紙久保昌太郎工房 紙を漉く寒のこころを漉くやうに 大寒の和紙板に干すまばゆさよ 深霜の夜半をめざめて眼をとぢて 豊後竹田のお手玉雛も祀りけり |