aoilogo2005年4月藍生主宰句
お手玉雛
黒田杏子

梅ひらく根榾をくべて惜しみなく
削り花うつばりに闇押寄する
大寒の蔵元仕込水甘し
  *小川町の地酒三銘柄
帝松晴雲武蔵鶴寒九
  旅館「二葉」
夜の梅忠七めしをさらさらと
坂東の深き枯野にまぎれゆけ
都幾山の枯れつくしたる観世音
寒詣ひとりひとりの御名唱え
巡り巡れる山姥に大枯野
  本田正四郎さんお見舞い
寄書の七十余名寒見舞い
寒漉の和紙ひろびろと余白なし
   小川町細川紙久保昌太郎工房
紙を漉く寒のこころを漉くやうに
大寒の和紙板に干すまばゆさよ
深霜の夜半をめざめて眼をとぢて
豊後竹田のお手玉雛も祀りけり


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