aoilogo2005年2月藍生主宰句
冬青空
黒田杏子

   遍路吟行第28回 伊予43番明石寺
 一人の欠けし極月遍路かな
 火を踏みて炎を渡れ十二月
 死者の記憶の歓喜満つ落葉籠
 ほほゑみの空席に降る冬雲雀
 りんご煮てお写真を立て青邨忌
 献杯の夜の返り花風の熄み
 ざる一枚風呂吹地酒小一合
   もりをかを想へば
 青邨忌暮るる大白鳥の舞ひ
   十二月十二日
 あをあをと師走六林男師天上忌
 ほほゑみといふ遺品あり十二月
   十二月十六日 桂先生も発たれ(ご本名)
 丹羽信子九十年冬青空
 そののちの月光かぎりなきま冬
   両師の忌日・仮に名付けて
 十二月天上忌また月光忌
   十二月十七日 あんず句会 寂聴先生のお話あり
 空席に微笑寒禽ひるがへり
 すててこそ寂聴法話納句座


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