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黒田杏子
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新田久子さん ひやうと発つ冬青空の裏側に 庭枯るる旅鞄など枕上に 日なたぼこして眼を瞑りそのままに 冬麗や眼ざまし時計死者に鳴り 十二月一日大往生の柩 返り咲く桜一枝を柩にも 残りたる者箸置もみやこどり 無量光院 けさひらく高野山上返り花 雪を待つ高野の木々と暁を待つ 白湯汲んでわれも旅人冬に入る 箱根大根畑吟行 富士に響ける十一月の鉦叩 まぶしさのきのふけふあす大根穴 坂東吟行第18回 天開山大谷寺 照る翳る石山柞葛もみぢ その声を聴く柞山観世音 柞炎え舞へ石切夫石負女 |