aoilogo2004年4月藍生主宰句
土筆煮て
黒田杏子

  あんず句会 寂庵雛祭 二月二十日
 朝日さす嵯峨野僧伽に雛の間
 けさも来て曼荼羅山のうぐひすか
 俳名即ち戒名雛の段
 あたたかし寂聴先生雛の間に
 暮れてゆく嵯峨野むらさき雛の膳
 薄氷を踏む巡礼のとどまらず
 梅散っておほきな月を向島
 立子忌やもうぢき真砂女一周忌
 梅東風や切手箪笥を改めて
 野火走る走る墓山うち囲み
 野火迅し迅し老女の夢の奥
 土筆煮て師を憶ふ日と致しけり
  坂東吟行 第二十六番清瀧寺(新治村)
 山際の大きな家の垣繕ふ
 荒東風や小町の墓にどやどやと
 田螺鳴く句座のみんなにチョコレート


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