THE SPECIAL REPORT OF MODEL SPEED LIFE 

TOP : 1/24 scale BRM F-1 with G.Hill.
(C) 05/JULY/2001 Photographs by Dr.K
 60年代をこよなく愛する皆さんにとって「BRM」という言葉はなんとも言えない懐かしさを与えてくれるものではないでしょうか。
「B.R.M」すなわち「ブリティッシュ・レーシング・モータース」は、1960年代を代表するグランプリ・コンテンダーの1つで、1947年にレイモンド・メイスとピーター・パーソンが中心となって発足したときは、ドイツやイタリアのアルファなどとならぶイギリスを代表するような国家的なレーシング・チームをめざしていました。そして、イギリス中のいろいろな企業からの出資を受けて結成されたブリティッシュ・モーター・レーシング・リサーチ・トラストと呼ばれる団体のもとにニュー・マシンの設計が開始されたのが最初でありました。
 よってBRMの発足の目的は、他の多くのコンストラクターのように自社のスポーツカーの販売宣伝のためにレース活動をするのではなく、イギリスの最先端の技術を結集してその優秀性を示すことが第1であり、また同時に世界が第2次世界大戦後の混乱からの回復期にあったことで、イギリスの力を世界に示す大きなチャンスだったことも発足の大きな理由でありました。
その後組織を一新し、1960年代当初からは“オーエン・オーガニゼイション”という企業団体(自動車や飛行機の部品や洗濯機などの製造を手がけている)の元でレース活動を続けることとになるのですが、BRMは自身のエンジンを他のコンストラクターに提供することはあっても、当然ながら販売用の生産車を持たず、これまでほとんどグランプリのみに参加を続けた世界的に見て非常に珍しいコンテンダーでありました。
 BRM最初のマシンの設計が始まったのは1946年頃で、1949年末には第1号車のテストにこぎつけてることに成功しています。そしてエンジンが当時の常識ではとても理解出来ないような「DOHC 1.5リッター2段スーパーチャージーV16」という大変高度な設計でありました。このあたりは、後に登場する「H16」に合い通じるものを感じにはいられません。
1950年代をより高度な技術力で複雑なエンジンで戦い抜いた「BRM」は、1959年ついに発足以来初の勝利をオランダ・グランプリで上げることになります。この時のマシンは、4気筒2500ccで、2.5リッタ―F1の時代でもあり、シャーシーは、クラシックなフロント・エンジン・タイプでありました。そして、1960年を最後に1500ccF1の時代に入って行くのでした。
 1961年この年は“シャーク・ノーズ”ことフェラーリ156に乗るフィル・ヒルの独走に終始し、BRMとしては自社製エンジンが間に合わずコベントりー・クライマックス・エンジンで戦うことになり目立った成績は上げることは出来ませんでした。
総合成績でもブルックスが10位、グラハム・ヒルは13位と低迷したのでした。
 1962年、前年のイタリア・グランプリのプラクティスに登場した自社製90度V8エンジンを持つニューマシンが地元イギリスのグラハム・ヒルとアメリカのリッチ―・ギンサー(後のホンダF1のドライバーとして有名)の手により大活躍をすることとなるのです。
その中でもヒルは、「オランダ」「ドイツ」「イタリア」そして「南アフリカ」の4つのグランプリに勝利し、遂に念願の世界タイトルを手中に収めることとなりました。そして、BRMとしてはこれが最初で最後の世界選手権獲得となってしまうとはいったい誰が思ったでしょうか。
In 1958-1976 RESULT (F-1 World Championship)
YEAR
MANUFACTURERS RANKING
DRIVERS RANKING
MACHINE
1958
4th
5th
MKII(V16)(L4),
1959
3rd
8th
-
1960
4th
15th
-
1961
-
10th
P56(V8),
1962
1st
1st(G.Hill)
P57(V8),
1963
2nd
2nd(G.Hill)
P57, P61(V8),
1964
2nd
2nd(G.Hill)
P261(V8),
1965
2nd
2nd(G.Hill)
P261,
1966
4th
5th(G.Hill)
P261(V8-2.1L), P83(H-16),
1967
6th
9th(J.Stewart)
P83(H-16),
1968
5th
6th(P.Rodriguez)
P126, P133,
1969
5th
11th(J.Surtees)
P138, P139,
1970
6th
7th(P.Rodriguez)
P153,
1971
3rd
4th(J.Siffert)
P153, P160,
1972
6th
11th(J.P.Beltoise)
P160B, P160C, P180,
1973-77
-
-
P160D. P160C.
P160E.
P201. P207.

 さて、今回の再現第3号 モデル・スピードライフ 特集3 「THE BRM」は、この唯一のチャンピオンシップ獲得の1962年から40年後の2002年に先だってF1チャンピオンシップ獲得40周年記念ということで60年代に数多く発売されていた「BRM F1」のモデルカ―・レーシングを御紹介しようと思います。

“栄光の1962年” 
 2.5リッターF-1時代が終わり、1.5リッターF-1時代も2シーズン目に入るとBRMも自社製のV8エンジンも登場し、グラハム・ヒルの好調さも手伝って遂に念願のチャンピオンシップを手に入れることが出来たのでした。

TOP : 1/24 scale Revell's BRM F-1s.
#1 3rd place at BLITISH GP in1963.

TOP : This BRM kit making by  IMAI with GOSEN's frame in 1965.

TOP : LINDBARG's BRM RTR.(1962 DUTCH GP winners car)

TOP : LINDBARG's BRM frame.
 1963年シーズンは、これまでのスペース・フレームからモノコック・フレームマシンタイプ<61>を登場させたのでした。しかし、この年はロータス25のジム・クラークが強く、グラハム・ヒルは総合2位となるのが精一杯でありました。

TOP : The 1/24 Cox's BRM F-1 and  kit.

TOP : The MONACO GP winner #8 BRM P61 F-1 with G.Hill in 1963.
 1964年シーズンからBRMはタイプ<61>と共に<261>を投入し、ロータスやフェラーリに対抗することになるのですが、最終戦までもつれた選手権争いも、ジョン・サーティーズ(フェラーリ)に小差で破れエースのグラハム・ヒルは総合2位に甘んじることになりました。

TOP : The 1/24 TokyoPlamo's BRM F-1(P261).

TOP : The Box of Tokyo Plamo's BRM in 1965.

TOP : The 1/24 Atras's BRM F-1(P61).

TOP : The Box of Atras's BRM.

(C) 18/JULY/2001 Photographs by T.S.


TOP : The Eldon Co,.Ltd  had a 1/24 scale model BRM F-1(P261).
(C) 18/JULY/2001 Photographs by T.S.

“BRM H-16登場!!” 
 1966年は1500ccエンジンから3000ccエンジンにレギュレーションが変わった初年度ということで各チームフル3リッターエンジンが間に合わず1500ccをスケールアップしたエンジンやタスマンシリーズに使用していたエンジンを利用したりして前半戦を戦うチームがほとんどでありました。BRMチームもそんなチームの1つであり、前年まで使っていたV8 1500ccエンジンを排気量アップして前半戦を戦わざるをえませんでした。チーム期待のH16気筒エンジンはまだ試験段階で、実戦投入は後半戦になってからだと思われていました。
 そしてシーズン後半戦のイタリア・グランプリについにそのH-16エンジンを搭載してフル3リッター・マシン“P83”が登場したのでした。当時のホンダRA273-300のV12エンジンと同じく400馬力を絞り出すこのH-16はでしたが、そのあまりにも複雑過ぎる機構のためトラブルが続出して、これ以後BRMは1970年に登場するV12エンジン付き“P153”までの間、低迷の時代を迷走することになるのです。


TOP : 1/24 scale BRM P83 by Dr.K.



 

 

TOP : The 1/24 BRM of Dubro Clear Body with Original Flame by Dr.K.


 
 
GO TO PART 2
PART 2へ続く


GO TO TOP
GO TO MAIN

(C) 18/JULY/2001 Photographs by Dr.K and T.S.
(C) 18/JULY/2001 Text Report by Hirofumi Makino.