TOP : What're they !?
THE SPECIAL REPORT OF MSL.
THE COOL INPRESSION OF MODEL CAR RACING.

"THE TIME TRIAL !!"
IN SN SPEEDWAY 
by S.NODA

"COX 1/24 LOTUS 40" 
VS 
"TAMIYA 1/24 LOTUS 40"

日米最強のマシンが激突!!
果たして最強の称号はどちらに!!


TOP : Who is she !?
Cox Lotus 40( Leftside) and Tamiya Lotus 40( Rightside)
(C) 25/AUG/2001 Photographs by S.NODA.
 1960年代のモデルカー・レーシングを思い返してみると、どうしても私たちはアメリカから輸入された「COX」「モノグラム」「レベル」らの高級(!?)モデルカー・レーシングたちを思い浮かべてしまうのではないでしょうか。
それらは当時小学生から中学生だった私たちにとって、手の届かない高嶺の花でありました。そして、その魅惑的なパッケージアートは私たちを魅了し、まさに豊かな国“アメリカ”への憧れが一層私たちをそのような気持ちにさせていったのかもしれません。
さて今回の企画は、当時の憧れのキットだったCOX製1/24スケール“ロータス40”と、やはり当時国産として世界に通用する唯一のキットだった田宮模型製1/24スケール“ロータス40”を35年間の時空を超えて、なんとサーキット対決させてしまうというものであります。
 なお、この企画を実際にテストして頂き、さらにレポートまで書いて頂いたのは、COX製キット製作を得意とされているN氏にお願いいたしました。
氏は、なんと御自宅にサーキットをお持ちなのです。なんとも羨ましい限りであります。
 それでは、この世紀の日米対決である「キング・コング VS ゴジラ・・・」失礼!!「COX LOTUS 40 VS TAMIYA LOTUS 40」のタイム・トライアルをさっそく始めることにしましょう!!

<キット紹介>COX 1/24 LOTUS 40 ( 1965)


TOP : The 1/24 Lotus 40 Kit by Cox.
(C) Photograph by Dr.K

<キット紹介> TAMIYA 1/24 LOTUS 40 ( 1966)


TOP : The 1/24 Lotus 40 Kit by Tamiya.
(C) Photograph by Dr.K
 モデルとなったLOTUS 40とは!?
 ロータス40を語る上でロータス30の存在を忘れるわけにはいきません。
1964年に誕生した“ロータス30”は、ロータスが多国籍企業フォードと提供関係に入ってから生れた初のレーシング・スポーツでありました。1963年のローラGT、さらに1964年のフォードGTと相次いで発表されたフォード・ブロック使用のビッグ・レーシング・スポーツカーに遅れをとっていたロータスは、エランと同じバック・ボーン・フレームを採用、フォードの4.7リッターV8エンジンを積んでデビューするが、エース・ジム・クラークが1965年のシルバーストーン・サーキットで行われた「シニアサービス200レース」とイースターマンディの「グッドウッド」で優勝したにとどまり、台頭著しいローラT70やマクラーレン・エルバのライバルとはなりえませんでした。
 そこで、“30”のサスペンション強化と排気量アップされたエンジン(5,3リッターフォードV8)を搭載して登場したのが“ロータス40”であります。
1965年、ジム・クラーク駆るロータス40は、イギリス・ブランズハッチで行なわれた“ガーズトロフィー”に必勝をかけて出場するもブレーキ・トラブルでクラッシュするなど散々なレースが続きました。
 アメリカへの進出に関しては、2台のワークスカーが海を渡り、ジム・クラークが「1965リバーサイド・タイムス・グランプリ」でチャパラル2に次いで2位に入ったのが“40”にとってのベスト・リザルトとなりました。また、これとは別にホルマン&ムーディのため、AJ.フォイト用に1台が用意され、ナッソー・スピードウィークなどに出場するもこれといった成績を残さないまま“ロータス40”はチャプマンの失敗作(!?)として消えていくのでした。
今回紹介しているCOX製のロータス40は、 BOXアートから考えると1965年にジム・クラークがブランズハッチで開かれた“ガーズトロフィー”に出場したマシンをモデルにしていると思われます。
また、田宮模型製のロータス40は、クラークのドライブにより2位となった1965年タイムズ・グランプリ出場モデルを参考にしていると思われます。
<サーキット紹介>

TOP : The 600R of First Corner( Leftside) and End Corner( Rightside). 
(C) Photograph by S.NODA

TOP : SN SPEEDWAY.
(C) Photograph by S.NODA
<サーキットデータ>
<トランス容量>
 AC100/DC12V 10A
<テスト環境>
 @サ−キット・コ−ス
 ・ビ−バ−・コ−ポレ−ション製 11.2m 4車線 (93年竣工、95年〜改修中)
 スタ−ト後600R、180゜の第1コ−ナ−を抜けて、登りの1200R、S字カ−ブ、そして下りの600R、240゜のヘアピンコ−ナ−、立体交差の下を潜り抜けて2.5mのホ−ム・ストレ−トへ。

 Aコントロ−ラ−
  パ−マ製 15オ−ム

<車両データ 1/24 scale>
 

 
COX ロ−タス40 `65製
田宮 ロ−タス40 `66製
車重
150.5g
180.3g
全長
175mm
172mm
全幅
72mm
76mm
全高
41mm
39mm
ホイル・ベ−ス
100mm
96mm
トレッド
F 68mm R 69mm
F 68mm R 74mm
最低地上高
2.5mm
2mm
ギア比
16:48
15:40
タイヤ
F/R coxダンロップ
F 田宮Fゴム/R coxダンロップ
価格
(年代)
(輸入元)
又は(メーカー)
\4,400 (モーター付き)
(1965年セガエンタープライゼス)
\1,200 (モーター別)
( 1966年田宮模型)

  <テスト方法>
 

(1)使用マシン
COX製 LOTUS 40 : ボディ、シャ−シ共にフル・オリジナル・コンディション
TAMIYA製 LOTUS 40 : ボティはテ−ル・ライトの変更以外はオリジナルシャ−シも基本的にはオリジナル・コンディションである。
(注)イコ−ル・コンディションでのテスト条件にするため、田宮製ロータス40のリアはCOXダンロップを使用 

(2)タイム・アタック
1.同一コントロ−ラ−及び同一コ−ス周回
2.スタ−トはロ−リング・スタ−トとし2周目のフィニッシュ・ラインを越えた時、計測を開始して5周のト−タル・タイムを記載する
3.ドライブ方法はヴィンテ−ジ・スロットカ−として極めて常識的な走りとする。

<測定結果>

(注)C : COX, T : TAMIYA [ 全て秒 ' " で表示]
測定温度・湿度
(室内)
1回目
2回目
3回目
4回目
22゜c 71%
C '32"25
T '31"50
C  '33"02
T  '32"26
C  '32"47
T  '32"03
-
30゜c 53%
C '33"91
T '32"25
C  '33"16
T  '32"33
C  '33"25
T  '32"11
C  '34"98
T  '33"22
28゜c 66%
C '34"75
T '32"84
C  '35"22
T  '33"41
-
-
32゜c 70%
C '36"15
T '34"65
-
-
-
Total
Ave
C  '339"16
T  '295"10
C  '6"783
T  '5"902
    
 <テスト・インプレッション>
 ドライビング・テクニックにも関係はあるかとは思いますが、私のテスト結果によりますと両車の1周の平均タイムの差は約1秒でありました。
 上記の車両の数値デ−タでは、タミヤはCOXより車重が30g重く、ホイル・ベ−スは4mm短く、車高が0.5mm低いという数値を示しましたが、ドライブしていて感じたのはタミヤの方はCOXよりもやや高速でコ−ナ−・インしても安定していてタイヤが食いついてる感があります。また、コ−ナ−・アウトから直線へもスム−ズな立ち上がりが見られました。COXはヘアピン・コ−ナ−では慎重なコ−ナ−リングを心掛けないとホイール・ベ−スが長く、腰高の為、簡単にスピンする確率は高いと感じました。
よって、コ−ナ−が多くテクニカル・コ−スではタミヤは断然優位だと思います。
しかし、直線が長いハイ・スピ−ド・コ−スに於いては、重量が軽いCOXの方がスタ−ト・ダッシュや直線での加速性能が優れており、必ずしもタミヤが優位とは考えられません。車重の重い分、不利かと思われます。
それから余談ですが、このテストでより確信を深めたのは、何よりも見た目のリアリティに於いて断然COXに軍配が上がるということでした。
尚、両車のモ−タについて触れていませんでしたが、両車共TTX−250(36D)を使用しています。
by S.N
 さて、当時の「モデル・スピードライフ」誌はこの両車をどのように評価していたのでしょうか。
ちょっと当時の工作記事を覗いて見ましょう。
 
<COX製 1/24 LOTUS 40>
 組み立てキットの最高級品として知られるCOX社の1/24サイドワインダー方式で、フォードGT、チャパラルにつづく最新作のロータス40です。
 有名なマグネシューム合金製のシャーシー、ホイールなどのパーツは、一見フォードGTやチャパラルと同じようですが、ロータス40で特に改良された部分は、従来柔らかすぎて強度的にも問題があったフロントサスペンションが硬く、丈夫な材質になり、前輪は左右別々に回転するようになって、コーナーリングが良くなったことです。
 このキットは完璧な動くスケールモデルという感じで、クリヤーボディに満足できないマニアに最適でしょう。
・・・このロータス40の性格はスケールモデルなので、改造するのは本意でないので、スイングアームのスプリングを外し、15グラムぐらいのウエイトをアーム下側に取り付ける程度にしました。
1966.4 モデル・スピードライフ NO.6より
<TAMIYA製 1/24 LOTUS 40>
 走行させてみて、従来のサイドワインダー方式の車には見られないすぐれたコーナーリングを示しました。これはサスペンションシャーシーにおうところが大きいようです。特にサイドワインダー特有のコーナー時のガタツキがないのは特筆すべき点といえるでしょう。しかし反面グリップが良すぎてドリフトする前に横転することが目立つので、モーター前部に15グラムぐらいのウエイトを接着したところ、良い結果が得られました。
 以上はスタンダードのモーターを使用した結果ですが、0.35mm径x55回にチューンナップしたモーターに積み替え、パワーブレーキを使用したところ、スパーギヤの歯の減りが目立ちましたので、この材質の改良が望まれます。
 また後タイヤの直径とスパーギヤの差が1.5mmほどなので、タイヤの減りによるスパーギヤの接地も気になる点といえます。
 以上の点が解決されれば、このキットは外国製品を含めて、最高級品といえるでしょう。
 1966.7 モデル・スピードライフ NO.9より 

 

 映画「キングコング対ゴジラ」の結末を覚えていらっしゃるでしょうか?!
「1回目の対決では、ゴジラの放射能放射に驚き退散したキングコングも、落雷を浴びたことによりゴジラの放射能にも負けない体質に変化、2回目の対決では、ゴジラと対等の戦いを繰り広げるのでした。
そして両者(両獣!?)もつれあったまま岸壁から海中へ、しばらくしてキングコングが浮上し、雄叫びと共に故郷の南海の島へと向かう。しかし、ゴジラもまた姿は見えずも雄叫びが響く・・・。」
 とまあ怪獣対決は全てこのような結末を迎えるのでありますが(そういえば、何の前触れもなく海底火山が爆発して両雄痛み分けなんかもありました)、今回SN氏の御協力を得て掲載することが出来ましたタイム・トライアル対決企画は、60年代のモデルカー・レーシング界のアメリカ代表といえた“キングコング”こと“COX製ロータス40”と原爆から生れた当時の日本を象徴する“ゴジラ”こと“TAMIYA製ロータス40”の雌雄を決した夢のような日米対決でありました。
上記の<テスト・インプレッション>でN氏が述べられていたようにテクニカル・コースではタミヤ、ハイ・スピード・コースではCOXというように結論としては“ドロー”という判定でありました。
しかし、タミヤのロータスはCOXのロータスが発売された翌年の1966年に新しいアイデアを盛り込んだシャーシーを持って登場したもので、それは実車でいうロータス30とロータス40ぐらいの差があるのではないかと想像出来ます。
それでも対決させてしまおうという企画を立てたのは、COXのロータス40やチャパラルが私たちの憧れであり、その拘りを確かなものにする為にもあえて性能的に格上(!?)のタミヤ・ロータスと対決させてしまおうと思ったからでありました。
これからもこのような夢の対決を是非企画していきたいと思っていますので御期待ください。
最後に、お忙しい中時間を割いて頂いたS.NODA氏、本当にありがとうございました。
編集長


 
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(C) 31/AUG/2001 Special thanks Text Reports and Photographs by S.N.
(C) 01/SEP/2001 Special thanks by Dr.K.
(C) 31/AUG/2001 Reports by Hirofumi Makino.