日本グランプリ・ロス・・・空白の1970

 ニッサンの完勝で幕を閉じた69'日本グランプリ。続いて11月23日に富士で開催された「第2回日本カンナム ワールドチャレンジカップ富士200マイルレース」はトヨタニュー7が制し1969年は終わる。 そして、来る1970年のトヨタ VS ニッサンの対決にモータースポーツファンは期待に胸を躍らせレースが開催することを信じた。

 1970年、鈴鹿の毎年恒例のオープニングレース「鈴鹿300Kmレース」はまだ雪がコースサイドに残るコンディションの中、開かれた。昨年は旧トヨタ-7(3リッター)とタキ・レーシングのローラT70MKIII&ポルシェ・カレラ10などがエントリーし、その年のグランプリを期待させるレースとなった。 ところが、1970年の同レースには、トヨタからもニッサンからもエントリーはなく、話題と言えば、日本グランプリに出場した“ポルシェ 908/02”が永松邦臣のドライブでエントリー。そして、元タキ・レーシングのカレラ10を若手ドライバーの筆頭と言われる“風戸 裕”が購入しエントリー。さらに、日本グランプリにはエントリーだけで出場しなかった小島レーシングの“フォードGT40(元ヤマハ所有でトヨタのテスト車両)”が田中健二郎のドライブでエントリーしていたことが話題となっていた。
 結果的には永松の908が圧倒的なパフォーマンスを見せて完勝し、風戸のカレラ10が2位に入った。 期待のタナケンGT40は最終周にガス欠となり3位を逃す。

 この時の永松と908のエントリーがタキ・レーシングの最後の仕事になった公算が強い。 富士300マイルレースにもこの908は風戸のドライブでエントリーしているが、すでに永松も三菱ワークスに移籍しており、滝進太郎個人からレンタルして出場したのではないかと推測する。 このレース以後、908は日本でのレースには登場しておらず、海外に流失したのではないかと思われる。

 風戸 裕は、この年の富士インター200マイルに新たに購入した“ポルシェ 908II/024”でエントリーし、初来日の“フェラーリ 512S”と対決している。 この908IIは、元ワークス・ポルシェの907だったようで、昨年途中に908II に改造されたマシンのようだ。  風戸は、このマシンで翌1971年まで富士GC専用で走り続け、1971年富士GC最終戦の「マスターズ250Km」で908II にとって最初で最後の勝利を手に入れた。
 このマスターズ250Kmには、当時不振が続いていて「落ちた偶像」と悪口を囁かれていた“Tetsu Ikuzawa”が起死回生を狙って“ポルシェ 917K”を持ち込んだレースでもあった。 このマシンは、デビッド・パイパーからレンタルしたものであり、あの1969年日本グランプリにシファートのドライブで富士を走った917と同車両である。ボディのみ最新のKスタイルに変更している。
しかし、雨の富士ということやギヤ比交換パーツもほとんどパイパーは持ち込んでおらず生沢は途方に暮れる。
予選では2年前の917の記録を破ったものの酒井とアダモウィッツの“マクラーレンM12”を上回ることは出来ず、レースでも2台のM12の脱落により総合2位でゴールすることができた。 
 優勝は、3リッターながら雨の富士をトラブルなく走り切った風戸の908IIだった。

 日本でのレーシング・ポルシェで忘れてはならないのが、「チュードル・カレラ6」と高原レーシングの「カレラ6」の存在だ。
元滝進太郎の愛車であり、1968年の日本グランプリを最後にチュードル・ウォッチ・レーシング所有となり、1969年の鈴鹿1000Kmではなんと総合優勝してしまう。 その後オーナーが変わり1973年頃まで活躍する。
 高原レーシング所有のカレラ6は、あの第4回日本グランプリで生沢 徹が乗って優勝したカレラ6そのものだ。長らく関西のマニアの元にあったものを風戸の紹介で手に入れ、1971年の鈴鹿500Kmや同1000Km、そして鈴鹿グレート20レース、富士GCなどにも参加し活躍した。
 
 現在も元タキ・レーシングのカレラ6とカレラ10は日本にあるようだ。それぞれ走行距離はいったいどのくらい走ったのだろうか。
 
 1966年日本上陸後現役最年長記録を更新!! 
Porsche 906/120 ------チュードル・ウォッチレーシングで開花!!

 
 

 

TOP :Porsche 906/120 of TUDOR WATCH RACING TEAM.
It gots a win in 1969 Suzuka 1000Kms race.
1/32 scale #1 Porsche 906 built and repaint by Takehiko Sudo.
 
 

 TOP : Hiroshi Kazato and his machine "Porsche 908II/024.
It gots a win in 71Fuji Masters 250Kms Race at Fuji SW.

1/32 scale FLY model Built and Repaint by Takehiko Sudo.
 
 
 TOP : 1/43scale Porsche 908s.
Leftside: #5 908/02/008 of ex-Taki Racing Team..
It participated in the 1970 Fuji 300 Mile Race.
other : #3 908/02/024 of Hiroshi Kazato.
It was active at Fuji Speedway only between 1970 and 1971.
 Built by Masayuki Yamada.
 
 

TOP : #05 Porsche 917K/010 and Ster "Tetsu Ikuzawa".
1/32scale FLY model built and repaint by Takehiko Sudo.
 
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Special thanks : Takehiko Sudo.

(C) Photographs and built by Takehiko Sudo.