The Special Report Of Model Speed Life 
THE '60s LE MANS TEST DAY 
哀愁の'60sル・マン テストディ
1965
The Ferraris were the fastest, but no one discounted the Ford GTs or the Cobras ! 

TOP : John Surtees and his Ferrari 330P-2.( The '60s Tamiya's 1/24 scale Slot Racingcar) 
 World Champion John Surtees, in the new 330P-2 Ferrari, set a sensational new record with a lap at three minutes 35 seconds, for an average of 140 mph !!
(C) Modeling by Dr.K
衝撃の初登場!!フェラーリ330P-2!!
 
 1965年のル・マンテストディにおいての最大のニュースは、やはりジョン・サーティーズのドライブでデビューした“フェラーリ330P-2”の登場ではないでしょうか。
まさに、センセーショナルにデビューしたこのフェラーリ330P-2は、いきなりテストディにおける過去のレコード・タイムを破る3分35秒1をマークしてみせたのです。エンジンは新開発の4000ccV12気筒 DOHCという強力なもので、フォードのOHVプッシュロット4700ccに対するエンツォ・フェラーリの技術での解答でありました。
このサーティーズが記録した素晴らしいタイムは、少なくとも“打倒フェラーリ”に燃えるフォード・チームを震撼させてことだけは言うまでもなかったでしょう。
 時を同じくして当時最高に盛り上がりをみせていた'60sモデルカーレーシング・ブームにおいてもこの衝撃のデビューを果たしたフェラーリ330P-2をほっておくわけがありません。1966年、日本の田宮模型から最大のヒット作となっていた1/24スケール “マクラーレン・エルバ(真鍮製スプリング・サスペンション付きシャーシー)”と同じシャーシーを使って、このフェラーリ330P-2が発売されたのもそんな“フェラーリ対フォード”の時期でありました。


TOP : Ferrari 330P-2 of TAMIYA's Solt Racingcar by Dr.K.

 この田宮模型が発売した“フェラーリ330P-2”には、他に発売されていたキットと同様に実車解説が書かれた小さなカードが付いています。このカードには次ぎのような内容が書かれていましたのでご紹介いたします。
 
 フェラーリ330P-2は、1965年初登場した4リッタープロトタイプです。ボディーは一昨年、昨年の250/275/330Pのそれを更に改良発展させてものです。昨年の型よりボディ自体は更に低くなっており、冷却気の取り入れ口は一段と大きく、ロールバーを兼ねた空気の整流板からはテールまでフィンがつかながっています。ストレートでのマキシマムは軽く300km/hを超えるものすごいスピードをもっていますからフォーミュラIを含めて、今日世界最高のレーシングマシンといってもよいでしょう。

 

 1965年のマニファクチャラーズ・チャンピオンシップ第2戦「セブリング12時間レース」においてその前身たるプロトタイプとしてデビューした“フェラーリ330P-2”はボディデザインをより洗練させたスパイダーモデルとして、ここル・マンに持ち込んできたのでした。その結果、名手ジョン・サーティーズのドライブにより昨年のフィル・ヒルがフォードGTでマークした3分42秒2を大幅に破る3分35秒1を記録し、本戦への期待を抱かせる事となりました。
また、スクーデリア・フェラーリはこのテストディにエースのサーティーズの他に、マイク・パークス、ルドビコ・スカルフィオッティ、ロレンツォ・バンディーニ、そして、ニーノ・ヴァッカレーラを参加させ、このニュープロト“330P-2”を交互にドライブさせ、揃って3分40秒弱のタイムを記録することが出来たのは、まさに330P-2の優秀さを物語る出来事でありました。
 さて、テストディ・タイムトライアルにおいて第2位のタイムを出したのは、なんと注目のフォードGTではなく、フェラーリのプライベータ―・チームというべきScuderia Filipinettiからエントリーして来たフェラーリ365P-2( 4400cc SOHC V12)を駆るTommy Spychigerでありました。タイムもわずかではありますがプライベート・フェラーリがフォードGTを凌いだという事実は、フォードGTを率いているキャロル・シェルビーを落胆させるのに十分な結果だったのではと思われます。

TOP : Ferrari 330P-2 roadster was fastest in practice with "Big John".
メイク&トライの繰り返しだったフォード陣営
 
 打倒フェラーリに燃えるフォード・チームはこのテストディに3台の違ったモデルを持ち込んできました。
うち2台は、アメリカのシェルビー・アメリカンからのエントリーとなった4700ccV8 OHV搭載のフォードGT。そして、1台はジョン・ワイヤー率いるフォード・フランスからのエントリーのZF製5スピード・ギヤ・ボックスを持つスパイダーモデルでありました。このスパイダーは、フォード・アドバンス・デェベロップメント製のものであり、この年のタルガ・フローリオやニュルブルクリング1000Kmなどにも出場していた実戦的なマシンであります。
テストディ当日、ジョン・ワイヤ―は「何故、スパイダー・モデルを持ち込んできたのか?」という質問に対し、「何故って!?考えてみてくれ、過去のル・マンにおいてオープン・モデル以外でル・マンを制したのは1952年のメルセデス・ベンツ300SL以外にはないんだよ!」と答えたといいます。
しかし、6月の本戦で勝利したマシンは、なんとクローズドボディのマシンであったのはなんたる皮肉ではないでしょうか。しかもフォードGTではなく宿敵フェラーリの2軍マシン(!?)“250LM”で・・・。
さらに、クローズドボディマシンのル・マン勝利は1971年まで続き(1966年フォードMKII、1967年フォードMKIV、1968−69年JW・フォードGT40、1970−71年ポルシェ917K)、ワールドチャンピオン “グラハム・ヒル”がマトラを駆って、世界3大レース制覇の最後の砦となったル・マン(1972年)に勝利するまでの6年もの間続くこととなるのです。
 一方、キャロル・シェルビー率いる実質的なワークス・チームであったシェルビー・アメリカンは、1964年世界マニファクチャラーズ選手権 スポーツカークラス総合優勝した実績を持つデイトナ・コブラの経験を生かしながら、フォードGTを仕上げてきた割にはタイムが伸びず終始“メイク&トライ”を繰り返していました。
その主なテストとは・・・。
1)各メーカーのタイヤをそれぞれテスト( Dunlop, Good&year, Firestone)。
2)アンチ・ロールバーの調整
3)ボディ形状をエアロ・ダイナミックスに改造トライ。
 テストディ・タイム・トライアルで3位となったR.アットウッドのフォードGTはフロント・ノーズを伸ばし、ロング・ノーズによるストレート・タイムの向上を図っていました。結果的に、ル・マン本戦において序盤戦トップを快走したあの有名な7000ccフォードGTの原型となったわけであります。

TOP : A special long nose, which broke up, was tried on the Ford GT.
4)各メーカーオイルのテスト。
 さて、1965年のル・マン テストディは次ぎのような結果で終了しました。
テストディリザルト(30台参加)
Place
Machine
Driver
Time
1st
Ferrari 330P-2
John Surtees
3'35"1
2nd 
Ferrari 365P-2
Tommy Spychiger
3'40"1
3rd
Ford GT
Richerd Attwood
3'40"9
4th
Ford GT
Bob Bondurant
3'42"9
5th
Ferrari 275P-2
R.Bandini
 3'44"4
6th
Porsche 904/8
G.Mitter
3'56"4
11th
Iso Grifo A3C
Pierre Noblet
4'02"4
12th
Alpine M63
Henri Grandsive
4'16"9
14th
Alfa Romeo Giulia TZ2
Roberto Bussinello
4'19"3
15th
Alpine M65
Mauro Bianchi
4'19"8
17th
Elva GT160 BMW
Richard Wroffesley
4'22"2
19th
Maserati Tipo 151/4
Lloyd Casner
4'26"4
20th
Rover-BRM
Graham Hill
4'27"5
ポルシェ904GTSに6気筒、8気筒エンジン搭載車登場!!

TOP : The 1/24 scale Porsche 904GTS of Monogram.
(C) Modeling by Dr.K.
 フェラーリとフォード以外での注目すべきマシンは、このポルシェ904GTSをおいて他にありません。
シュツットガルトの巨人は、904の派生モデルであります6気筒エンジンと8気筒エンジン搭載車をこのテストディに持ち込んできたのでした。ノーマル・バージョンである4気筒モデルは我が国で開かれた記念すべき「第2回日本グランプリ」において出場し、そして優勝した式場壮吉氏の904GTSが有名でありますが、多気筒化したモデルを登場させたのはこのテストディが初めてでありました。ミュルサンヌ・ストレート(ユーノディエール・ストレート)における最高速向上を狙ったのが8気筒モデルの904/8であり、トルク重視で運転しやすさを狙ったのが904/6(906とも言うが、翌年のカレラ6との識別上904/6という方が好ましい)でした。
タイム的には、8気筒モデルを駆ったミッターがフェラーリ250LMと変わらないタイムであります3分56秒4を記録し、ポルシェ侮るべからずの評判を得ていました。
 その他のエンターは、前年レース勝敗対象外で参加したタービン・エンジン搭載の”ローバーBRM”が正式エントリーが認められ、エース グラハム・ヒルが精力的にトライアルを行なっていました。
また、フランスの期待の星、“アルピーヌ・ルノー”も参加1300cc以下でありながら、侮れがたいスピードで周回しており、本戦での期待が膨らみます。

TOP : The 1/32 scale ROVER BRM Turbine-engine kit by AURORA.

TOP : The new Rover-BRM turbine car was driven by G.Hill at Le Mans Trial.

 
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