リバーサルその長所と短所

●カラースライド用のリパーサルその長所と短所

カラーフィルムは一般的にみれば、手にとって見ることのできるカラープリントの需要が多いために現在ではネガ・ポジが主流であるが、依然としてリパーサルの愛用者も多い モノクロのスライド用フィルムはかつて市販されていたものが、需要が少ないために製造中止になってしまい、モノクロスライドをつくるときは大変不便になった。しかし、カラーのリバーサルは種類も豊富にあり、各メーカーもかなりカをいれている。

というのも、リパーサルにはそれなりの魅力があるわけで、第一にもっとも手っ取り早くしかも安価に、カラー写真(カラースライド)がつくれる。撮影したあとはフィルム現像だけでよいので、プリントという手間と費用もかからず、仕上がりも早い。現像は、早いところでは数時間で仕上げてくれる。カラースライドの特徴は、透過光で見るため反射光で見るカラープリントでは見られない鮮やかな色と、深味のあるトーンが観賞できる。とくに、暗黒下でプロジェクターでスクリーンに拡大映写したときの美しい色彩効果は、カラープリントの比ではない。もちろん、カラースライドはフィルムにプリントしてもらえば、カラーネガからもつくることができるが、リバーサルによる直接撮影の方が何よりもシャープであるとともに色再現性もよい

また、印刷原稿用としてのリパーサルの利用価値は、とくに大きい。モノクロの場合、印制原稿としてはプリントが普通だが、カラーの場合は製版上の問題を含め、ほとんどの場合において原稿は透明陽画(カラースライド、カラートランスパレンシー)が望まれるため、印刷を主目的とするプロの写真の世界では〃カラーボジが直接的にシャープにつくれるリバーサル〃が主力フィルムとして使われる。

さきに述べたように、リバーサルの場合は撮影時の撮影光源の色温度がちょっと違っても、また、露出は1-3絞り変わってもカラースライドは色も濃度も変わってくる。そのため、正確なライトバランシング、正確な露出ということがきわめて重要になる。同時に、同一製品でも乳剤番号によって、また現像所やその現像時期(朝、昼、夜)によっても、仕上がりが微妙に変わってくる。厳密にいえば二度と同じ仕上がりは望めない、といっておいた方が無難かもしれないのである。その他の欠点は、ネガカラーとの比較で述べたとおりである。

それでは、より厳密な仕事が要求されるプロの間で、なぜリバーサルが多用されるのかという理由は、印刷原稿としてカラートランスパレンシーが要求され、それが直接的に短時問に、しかも安価に得られるということと同時に、撮影時の操作しだいで意図した効果が、直接的に出せるという利点があるからである。もちろん、そのためにはリバーサルフィルムの性質をはしめ、ライティングの効果や、色温度や露出の過不足の効果を熟知することが必要であり、実際にあたってはフィルムの選ぴ方や保存、さらに現像処理までを守備範囲として厳密に管理しなければならないが、仕上がるカラーボジはネガポジの場合のようなプリントマンの介在なしに、直接的に作者の意図が反映できる。要するに、確実に写せる技巧を身につけさえすれば、リバーサルの方が手っ取り早く安価に、思いどおり確実な結果が得られるということである。

また、リバーサルは色の歪みも少なく、シャープであることも大きな特徴である。ネガ・ポジでは、ボジをつくるためにもう一度レンズをとおして別の材料に焼き付けるわけだが、カラーにかぎらず写真はコピー(プリント)のプロセスが多くなるほど画質は低下する。リバーサルは、撮影レンズでできる像をそのまま残すわけだから、それだけシャープで画質も優れたカラー写真ができるということである。

●昼光用(テーライトタイプ)と電灯光用(タングステンタイプ)

一般用のリパーサルは昼光用(デーライトタイプ)と呼はれるもので、晴れた日の正午前後のサンライトとスカイライトがまざり合った色温度約5500K-6000Kの光(昼光、デーライト)で撮影したときに、YMC画像がそろって発色してノーマルなカラーバランスが得られる。写真電球(リフレクターランプ)などの色温度の低い電灯光では、かなり黄赤っぼくカラーパランスが崩れるが、濃いブルーのLBフィルターを使えば電灯光撮影も可能になる。

電灯光用(タングステンタイプ)は、写真電球などのタングステンランプ専用に設計されたフィルムである。タングステンランプは相対的に青紫色光が少なく赤色光が多いので、青紫色光に対しては強く、赤色光に対しては弱く感しるよう感度パランスか調節されている。したがって、電灯光でノーマルなカラーバランスが得られるが、昼光のような色温度の高い光で撮影すると、全体に著しく青紫色が強く発色してカラーバランスが崩れる。この場合は、濃いアンバー系フィルターで補正ができる。このように、フィルターやランプ(昼光用フィルムに対してはストロポ、ブルーランプ、ブルーバルブ)を使い分けれぱ、一種のフィルムで種々の条件で撮影ができるわけだが、フィルターをかけるとフィルターの露出倍数がかかってフィルム感度が低下するので、でさるだけ撮影光源に適したタイプのフィルムを選ぴたい。

なお、コダックのタングステンタイプはBタイプとAタイプがある。エクタクロームのタングステンタイプはBタイプと呼ばれるもので、これは3200度Kの色温度をもつ写真用電球にカラーバランスを合わせてある。また、コダクロームのAタイプは、3400Kのランプに合わせてある。また、フジクロームのタングステンタイプはTタイプと呼ぱれ、3200Kランプにカラーバランスしてある。正確に色を出すには、これらフィルムの指示色温度とランプの色温度に注意が必要で、合致しないときはLBフィルターを使って補正する。

●より厳密な結果を得るためのプロフエツショナルタイプ

カラーフィルムは、それ自体か非常に精巧な構造と性質をもっているわけだが、今日のいかに高度な乳剤塗布技術をもってしても、常に完全に同一の特性をもたせるということは不可能とされる。というのも、カラーフィルムに塗布されている乳剤の厚さはナノメートル単位で、これが角層あるいはそれ以上にわたって重ねて塗布されていて、そのフィルム上で3色分解と色合成をおこなうわけである。

そのため、感光乳剤の厚さに対して許される許容誤差は標準の4-5%とされ、その限界は100万分の15インチ(0.00038ミリ)とされるから、それがいかに至難の技であるかを推測することはそれほどむずかしくない。そのため、カラーフィルムは製造するたぴに、微妙に特性が違ってくる。その主な特性の違いは、乳剤の感度と感度バランスである。つまり、フィルムの感度と仕上がるカラーバランスが、同一フィルムでも乳剤を製造するたぴに変わってくるということである。

たとえぱ、コダックの一般用リバーサルでは、フィルムの出荷時点において感度はプラスマイナス半絞り以内、カラーバランスはCCフィルターの10以内に抑えられていると明記してある。ということは、逆のいい方をすると、たとえば同じASA64と表示されるフィルムでもASA50くらいのものもあれば、ASA80くらいのものもあるかもしれないということである。だから、同じ露出を与えれぱ、必ず同じ濃度が得られるとはかぎらない

また、カラーバランスはCC10Yほど黄色が強く発色する傾向のフィルムもあれば、CC10Gほど緑が強くでるフィルムもあるかもしれないということだから、同一製品でも常に同じ色にでるとは限らない。これでは、許される露出の誤差が絞りで1一3絞り以内、カラーバランスはCCフィルターで05以内といった、厳密なカラー撮影はできない。いちいち、乳剤番号ごとにテストをしてみる必要がある。

そこでカラーフィルムのうちで、プロフェッショナルという名のつくフィルムはプロ用として厳密な使用目的をもったものであるから、これらはその許容範囲内の有効感度とカラーバランスの変化を製品ごとに調べて、個々のフィルム説明書に指示されている。あるいはそれとは別に添えた補充データシート等に朱書きで明記されている。したがってプロフェッショルナルタイプを使うときはその補充データに十分注意したい。

またフィルムは有効期限内でも徐々に感度とカラーバランスか変化してくる。常温保存の一般のアマチュア用は有効期限内のある時期に標準値を示すようにつくられているといわれるが、プロ用の補充データは出荷時のデータであるから、プロ用は保存による変化を抑えるためにも必ず冷蔵庫で保存するという注意がいるわけで、エクタクロームプロフェッショナルタイプは13度C以下で保存するよう指示されている。


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