審 査 委 員 長 総 評　　 　写真家 ハービー ・ 山口

コロナも落ちついたとはいえまだまだ油断できませんね。しかしマスクの写真はほぼなく、時代は変化し続けています。　祭りのパワーとか公園での何気ない平和な光景など明るい方向に憧れを持っているように感じました。　写真とはそうした時代と共に移り変わる作者の感情が敏感に反映されています。

抜きんでた一枚というより、感情にグッとくる写真がありました。

上位につきましては、金賞の写真は病院でリハビリ中に撮られたものです。それは私達が避けては通れないひとつのシーンでもあります。お父様のお誕生日に娘さんが楽器を吹いてお祝いをしています。お父様はお孫さんの笑顔がプリントされたTシャツを着せてもらい嬉しそうにも見えます。

そこには精一杯の幸せを願う家族の絆が見て取れます。非常に重たいテーマですが、幸せな事ばかりではない現実社会を記録するのも写真の重要な役割です。

また、お祭りを必死に守ろうとしているシニア世代の姿や、お祭りの最高潮ではなく終了後の解体作業をしている場面などにも目を向けています。このような写真家の冷静な眼差しも賞賛すべきところです。

このコンテストは今回をもって終了とお聞きしました、私は１０年近く当コンテストの審査委員長を務めさせて頂き、多くの優れた写真を拝見しながら他の審査委員の方々と合議が出来たことに感謝致します。　　

シニアの方々はこれからも写真を続けてほしいと願う一方で、若い方へ写真の魅力を伝えるために新たなかたちでの発展を願っています。

ハービー・山口