診療所通信
        Clinic News Paper
No.93
2007/4/1

/                 川上診療所
 開院以来、毎月々月このように診療所通信を書いているのですが、いいかげんにもうやめようかと思うことがあります。もうちょっとまともなことが書ければなあと思うのです。しかしまあ年度初めというものは、新入生や新社会人も誕生したり、何かしら新しいことが始まりそうな気もします。そして我が診療所にも新たに先生方が加わりました。まずは宮尾先生。この通信でも何度か紹介したことがありますね。軽井沢病院前院長で私の親友。火曜に来てくれますが「今年はバングラデシュ以外にアフリカにも行くので、休むときは申し訳ありません」と言います。相変わらずです。次に押田先生。20年来の私の後輩です。乳腺専門医で水曜日に私と一緒に外来をやってくれます。さらに、藤本先生と新井先生。この二人は千葉大学の乳腺グループの若手です。このような新しい臨床医学と経験豊かな医師たちが集うのは良いことでしょう。そしてきっとわが診療所にも新しい潮流が生まれることになる…、やはり診療所通信はもうしばらく続けようかな、と思う院長でした。
4月21日(土)は日本乳腺甲状腺超音波診断会議に出席のため休診にさせていただきます。

・体型と乳がん・・・・厚生労働省の研究班による多目的コホート研究(JPHC研究)の体格と乳がんに関する報告をご紹介しましょう。肥満指数(BMI)の高い女性では、閉経後の乳がんのリスクが高いと発表されました。研究班は、1990年と1993年に、生活習慣に関するアンケートを実施しました。そのうちの40〜69歳の男女約56000人を対象として、2002年まで追跡調査を行いました。その結果、閉経前の女性では肥満指数(BMI)と乳がんリスクの関連は見られなかったのですが、閉経後の女性については、肥満指数(BMI)が30以上のグループでは、19未満のグループに比べて、乳がんリスクが2.3倍高かったという結果が得られました。また、身長と乳がんの関係についての調査では、閉経の前後に関わらず、身長の高い女性は乳がんのリスクが高かったという結果が報告されました。この研究は、Annals of Epidemiology に発表されています。もっと詳細を知りたいという方は、同研究班のホームページをご覧になることをお勧めします。
背の高さを変えることはできませんが、体重は自分でコントロールできますね。


・学会発表・・・・第18回日本乳腺甲状腺超音波診断会議という学会が、今月21.22日に千葉市で開かれます。私(遠山)は超音波に携わる技師の立場から発表します。「30歳代の乳房超音波検査の重要性」というテーマです。当診療所では、最近の3年間で22.207人の方に乳房超音波検査を行いました。このうち30歳代の方は5.337人で全体の24.0%にあたります。これは50歳代の24.4%に相当する人数で、若年の受診者が予想以上に多いということに驚かされます。若い女性では乳腺が厚く発達しているため、マンモグラフィでは全体に白っぽく写ってしまい、しこりがあっても発見しづらい場合があります。また、超音波検査は放射線被曝がなく、繰り返しの検査や妊娠中の方でも安心して受けることができます。そのような視点も含め今後ますます30歳代の超音波検査は大切になってくると思います。私はこのような学会の発表の場に立つのは初めてです。そのための準備には、先生方、同僚、スタッフの皆さんにたくさん協力してもらいました。感謝の気持ちを胸に、そして検査を受ける患者さんのため、有意義な発表ができるようがんばりたいと思います。
会場は、三井ガーデンホテル千葉です。興味のある方はどうぞご参加下さい。


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