診療所通信
        Clinic News Paper
No.86
2006/9/1

/                 川上診療所
 スペインにお住まいの患者さんからお便りを頂きました。その一部をご紹介しましょう。「シエスタの時間(午後2時〜5時まで)は、魚屋さん、八百屋さんなど商店街の小さなお店はお昼休みに入り、閉まってしまいます。 外出する人も少なくなり、公園にもほとんど人はいません。お昼の食事は、家族や友だちと2時間くらいかけて楽しくおしゃべりしながら過ごします。 暑い暑い夏をしのぐ、スペインの人たちの生きる知恵だと感心します。夕方になると公園は散歩好きのスペイン人で溢れています。 日本と違うのは、男性のお年寄りも集まってあちこちでおしゃべりしていることです。大勢の人たちがベンチに座り、楽しくおしゃべりしている様子を見ていると、私まで幸せな心地になります。とにかく話好きで、地下鉄に乗っても知らない人どうしが、気軽に声をかけておしゃべりをしているのです。親切なのは大人だけではありません。おへそを出して唇にピアスをしているような若い女の子が、地下鉄でさっと席をたって、お年寄りに席を譲るのを何度も目にしました。人間性の暖かさを毎日実感しています。・・・」
豊かな人間性とお昼寝は、医者の処方箋より健康に良い、と私は思います。

・千葉県内の乳がん検診は?・・・・乳がん検診を含め、検診の制度は、日本全国で統一されておらず、まちまちです。この千葉県内でも市町村によって検診のやり方は違います。平成16年度の千葉県の統計を見てみましょう。マンモグラフィによる乳がん検診を実施しているのは67市町村でしたが、視触診のみによる乳がん検診を実施している市町村は34ありました。乳がんの発見率はマンモグラフィ検診の方が、視触診方式よりも優れているのですが(県全体では0.22%対0.16%)、市町村によっても差があります。主な市町村での乳がん検診での発見率(マンモグラフィ対視触診)を挙げてみますと、千葉市:0.48%対0.41%、松戸市:0.08%対0.19%、市川市:0.11%対(不明)、柏市:0.10%対0.05%、市原市:0.24%対0.35%、八千代市:0.44%対0.12%、成田市:0.31%対0.16%、などとなっています。このようなばらつきの原因は、検診を行う施設や医師の質の違いによることも大きな問題のようです。
医療格差をなくすための医師の増員と専門医の育成、どちらも重要な課題ですね。

・増田先生のコラム・・・・今回はストレスについてお話します。ストレスは、心だけではなく、体の病気も引き起こします。ストレスによる胃潰瘍などは、よく聞く話ですね。それ以外にストレスによる免疫力の低下が、がんを引き起こすなど、たくさんのことが言われています。ストレスは、日常生活の中の「イベント」からも起きます。結婚や妊娠のような嬉しいことも、ストレスと考えられています。ストレスを数字で現す方法があって、例えば、配偶者の死を100とすると、結婚は50、夫婦喧嘩は35、その和解は45、自分の病気は53などなどです。喧嘩をしたら仲直りはワンセットですから、それだけでストレスは80。仲直りの方が喧嘩するよりもエネルギーを使うこと、興味深いですね。一年間に起きるライフ・イベントの合計が高くなるほど、病気の罹患率が上がると報告されています。実際は、大きなライフ・イベントよりも、慢性的ないらだち事の蓄積の方が健康に影響を及ぼすことがわかっています。ストレスはなくすことはできません。いかに発散させたり、しのいだりできるかが大事です。ストレスを感じたら、なげいていても寿命を縮めるだけ。ぜひ、うまくかわすことを考えるようにして下さいね。
最新、産業医のための講演、より。

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