診療所通信
        Clinic News Paper
No.79
2006/2/1

/                 川上診療所
 鶴岡にある真島医院へ私は定期的に診察に行きます。庄内地方は懐かしい日本の空気が今もなお残っている穏やかなところです。今日はそこの事務長さんからお便りをご紹介しましょう。「十二月上旬以来居座っている寒気の影響で大雪になりました 朝、まず雪かきをして医院に来ますが、それだけで今日一日の仕事が終わったという気分になります 昭和二十年(終戦の年)以来の大雪だと年寄りは言っていますが、その年に小学三年生で大雪の記憶がある私も間違いなく年寄りになっているということです 大雪に加え、暮れの羽越線の事故で昨年町村合併で生まれた庄内町が一躍全国に知られるようになり、皆さんに庄内は危険なところだと思われているのではないかと院長も心配しております 冬の庄内は時折地吹雪が吹きますが、近年は一冬に数えるほどしか有りませんでした ところが今年は連日のように吹きまくっております 毎月おいでになる00先生はこの庄内の地吹雪を期待していらっしゃるのですが、運良くと言うか悪くと言うかついぞ猛烈な地吹雪に出会っておりませんでしたが、先日おいでの際はすっかり堪能してお帰りになりました でも先生がおいでの際は穏やかな天候になってもらいたいと願っております」。
私もこのように味のある文章を書ける大人になりたいと常々思っているのです・・・

・入院にかかる自己負担額・・・・心臓の病気のため手術した知人は、総額で数百万円の治療費がかかり、そのうちの自己負担分は200万円弱と言っていました。額が大きいのでちょっとびっくりしてしまいますが、それではがん医療はどのくらいの金額がかかるのでしょうか。厚生労働省のデータベースを見ると、胃がんの場合、平均入院日数は38.7日で、医療費は約117万円、そのうちの自己負担額は約35万円となっています(自己負担は3割で計算。保険外の差額料などを含まず)。大腸がん、肺がん、子宮がん、乳がんなど、おおよその自己負担額は25万から35万円の間でした。白血病などは入院日数が長いこともあって、倍以上の自己負担額(86万円)となっていました。がん医療では退院後も抗がん剤治療のため、医療費はさらにかさむことになります。高額な医療が必ずしも質の良い医療であるとは限らないのですが、これらの数字からも国全体の医療費を下げることは簡単なことではないと感じます。
それでも無駄をしないように努力すべきですね。

・増田先生のメッセージ・・・・同僚の家のカブトムシ、輸入されてきたヘラクレスという種類で大きさは板チョコ位の立派な物。私達の子供の頃には輸入が禁止されていて、展示会でやっとその姿を標本で見れたという代物なんだそうです。そんなカブトムシ、大喜びしてくれると思った二人の息子達には、大きくて怖いと近寄らず、同僚が一人で世話をしていたんだそうです。ところがこの寒さ、死んでしまった。すると死骸なら怖くないと遊び始め、ついには取り合って喧嘩する息子達。死んだヘラクレスの足は取れてしまいました。半年といえども一緒に暮らしたカブトムシと別れることに悲しみのわかない子供達に、何を伝えていいのかと言います。私は子供の頃、蝉に糸をつけてもらって連れて遊び、柱に縛っておいたら夕方に死んでいました。可哀相と思いました。月日が経って蝉の命の短さを知った日に、とても悪かったと思いました。言葉で教わって理解することと、心で感じて理解することとは違うような気がします。そのときに教えるのも大切だけれど、わかる日が来るまで一緒に待つのも愛情だ思います。転ばぬ先の杖より、一緒に転ぶ愛情。でも、一緒に転ぶ方が痛いだろうなって思います。
寒い毎日、皆さんもお体に気をつけて下さいね!
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