診療所通信
        Clinic News Paper
No.76
2005/11/1

/                 川上診療所
 実は、と言うほどのことでもないのですが、この11月で私52才になりました。うむ。諸先輩方からは「今が一番の働き盛りだ」などと言われたりするのですが、本当ですか?ひところに比べ時間がたつのが早くなったことは実感します。1年があっという間・・・。医者というものは、患者さんの心情に共感することが大事なのですが、同年代の特に男性に対しては、何も意識せずこの共感がすんなりとできるもので、「何だか調子が悪くてやる気が出ないです」と言われると「そうだよねえ。分かりますよ」とうなずける。ボクもそうだからと口に出して言わなくとも、同じ境遇よく理解できます。家族や社会の責任を背負って今日まで生きてきたのだから、あちこち心身にきしみが出て当然。抽象的な病名や薬で、この疲労感とむなしさが解決できるものではないことくらい、駆け出しの医者じゃあるまいし百も承知です。それでも、もう少しがんばってみましょうなどと青臭いことをやっぱり言ってしまうのです。
同世代の紳士淑女の皆さんに尊敬と慈しみ込めてエールを送りましょう。

・女性ホルモン剤と肺がん・・・・厚生労働省研究班による多目的コホート研究(JPHC研究)で、ホルモン剤使用と女性の肺がんについて関連がみられた、というデータが報告されました。研究班は、1990年と1993年に、生活習慣に関するアンケートを実施した、日本の9の地域に住んでいる40〜69歳の喫煙していない女性約4万5千人を対象として、2001年まで追跡調査を実施しました。この期間中に153人の女性が肺がんにかかり、このうち閉経後の111人について検討したところ、「自然閉経でホルモン剤を使用しなかった人」の肺がんのリスクを1とすると、手術などで人工的に閉経し、ホルモン剤を使用した人の肺がんのリスクは2.4になったそうです。研究班は、『女性ホルモンがどうして肺がんに関係するのかについてはまだよく分かっていません(中略)・・・メカニズムについては、今後のさらなる解明が必要です。』と解説しています。女性ホルモンとその類似物質についての研究は、骨粗鬆症や乳がんとの関連も含め、世界中で盛んに行われていますが、現時点では決定的な結論は出ていません。
性ホルモンとがんについては今後も注目すべきテーマですね。

・冷えと浮腫の対策は・・・寒さの厳しくなる季節が迫ってきました。長距離通勤でじっとしている時間の多い私の悩みは、冷えとむくみです。これは女性の悩みの代名詞ですね。一般的に原因の多くは運動不足や不規則な生活、食生活のみだれ等・・。これらが代謝の低下を引き起こすことから出てくる症状です。最近私が気を付け始めた事の一つが水分摂取。正常な代謝能をもつ人であれば一日に2Lの水分を摂っても汗や尿で排泄出来るのでむくみは生じません。そうやって老廃物を流し、体内をきれいにするのに必要なのが1.5〜2Lの水分だと言われています。老廃物を溜め込むことも代謝の低下につながるようですね。これから寒くなると水分の摂り方にも工夫をするといいと思います。むくみやすい人は体を冷やさないように温かい飲み物を。体を温めるには紅茶や中国茶などの発酵茶、効能にあったハ−ブティなどがベストです。温かくてもコーヒーや緑茶のように体を冷やし利尿作用のあるものは控えて・・。本当ならライフスタイルを見つめ直すことから始めるべきですが、働く女性はそう簡単に変えられないものですよね。こんな事でもちょっと気をとめてみると何か違いがあるかな。
まだ1.5Lも飲めません~_~; 細胞検査士 入澤明子


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