診療所通信
        Clinic News Paper
No.75
2005/10/1

/                 川上診療所
 スペイン在住の患者さんから、元気に過ごしているとのメールが来ました。9月の子供たちの新学期に間に合うようにと、綿密に治療計画をたてて、この夏に治療を済ませた方です。バルセロナは夜の9時頃まで明るくて、毎日楽しく過ごしているご様子、何よりです。どうぞ異国の秋を堪能して下さい。私も先日、子供たちと共にくり拾いに行ってきました。縁あって庄内地方の農家の方にお世話になり、山林を分け入っての本格的なくり拾い体験でした。山のように収穫されたくり以外に、なすやトマトなど新鮮な秋の味覚をいっぱい頂戴してしまいました。自然は大切なものだと、私も年を負うごとに思うようになりました。「松食い虫で秋田の方まで海岸線の風景が変わってしまった」、地元の方の言われたことは、今も耳に残っています。人の身体も自然も、一度悪くなると元に戻すのは大変です。元気なときは検診など受ける気にはならないものですが、この秋ちょっと考えてみてはいかがでしょうか。
私事、しばらくやめていた水泳を再開しようかと考えている今日この頃です。

・肥満の男性は大腸がんになりやすい?・・・・厚生労働省研究班による多目的コホート研究(JPHC研究)において、肥満の男性は大腸がんのリスクの上昇がみられたそうです。生活習慣に関するアンケートを基に行われた追跡調査は、日本の10の地域に住んでいる40〜69歳の男女約10万人を対象として、2001年まで10年間追跡されました。 この期間中に約1000人(男:約650人、女:約350人)が大腸がんにかかりました。グループ別に大腸がんのリスクを比較した結果、BMI値(体重kg÷身長mの2乗)が大きくなるほど大腸がんのリスクが高いという結果が得られました(BMI 25未満 でリスク1.0。 30以上でリスク1.5)。女性では、このような関係は見られなかったそうです。研究班は、「(BMIが27以上は今回の研究対象者うち10%程度と少なかったのですが)肥満の男性は、BMI27程度までやせると良いかも知れません。」と解説していました。
女性にとって肥満は乳がんの危険因子。男性にとってもやはり肥満は良くないですね。

・増田先生のメッセージ・・・・あるとき、白黒はっきりすることばかりではなく、灰色が良いこともあると言われました。当時は、白黒つけばそれが辛い答えだとしてもスッキリすると信じていたので、なんだか納得できませんでした。頑張っても自分の願いが叶わないとき、なんの為の努力?と思ったりしませんか?でも、結果は同じだとしても、そこにたどり着くまでの時間や道程によって、全くその意味や価値が変わってしまうこともあると思います。白も黒もつかない灰色の時間、私達には無駄に見える時間が、実は一番大切な時間なのかもしれません。星の王子様の絵本に登場する狐が、愛する薔薇のワガママから逃げ出した王子様に言います。「あんたがその薔薇の花を大切に思うのは、その薔薇の為に暇をつぶしたからなんだよ」。王子様は愛する薔薇の為に、囲いを作り、水をやり、毎日手入れをしてきたのです。私達が出会う人、出来事、そこに意味を見出だせるように、大切に時間や愛情をかけるなら、それは星の王子様のたった一つの薔薇のようになるのかもしれません。灰色の時間を嘆くのではなく、大切に過ごして薔薇色にしたいです。私は癌と闘う灰色の時間にいるはずの人から、薔薇に変えることを教えてもらいました。
まだ私には難しい・・・、でも頑張りたいです。(増田祐有子)


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