診療所通信
        Clinic News Paper
No.71
2005/6/1

/                 川上診療所
 先日、ある方から「ガラスのうさぎ」という本をいただきました。高木敏子さんの名著ですね。本屋さんに行くと色とりどりの本が並んでいて目移りしてしまいます。「さおだけ屋はなぜ潰れないか?」は、身近でわかりやすい会計学の本でした。題名が面白いですね。「難民キャンプの子どもたち」(田沼武能著)の写真を、息子は食い入るように見ていました。ソファーでゆったり本を読むということができないので、もっぱら出張中に読書します。列車の窓からは景色を眺めるか、本の展開を追うか、迷うところですが、空の旅の場合は、ほとんど読書です(または睡眠)。私は飛行機が苦手で、と言うか、高いところが嫌いで、あの観覧車ですら「早く終われ」と念じてしまう始末です。晴れがましい所やひな壇やりっぱな場所もあまりふさわしくなくて、地に足がつかない所は居心地が悪いんですね。医者とはそういうものだ、と言ったら、支離滅裂に過ぎますが・・・。
最近の新聞雑誌に掲載される医者の発言には、興味深いものもあってこれも楽しみです。

・千葉乳腺疾患研究会のお知らせ・・・・第32回千葉乳腺疾患研究会が、千葉市のホテルサンガーデンで開かれます。今回のメインテーマは「乳がん検診」についてです(詳しくはプログラムまたはHPをご覧下さい)。この研究会は純粋な学術集会ですが、一般の方々や患者さんなども来られますので、興味のある方はどうぞご参加下さい。今や乳がん検診は、触診の時代ではなく、マンモグラフィやエコーなどの画像診断が主流になってきました。しかし現実はどうか。乳がんは増加の一途をたどっているにもかかわらず、専門医も少なく、検査機器のない施設もまだまだ多い。検診の制度も各県や市町村で不統一で確立していない。問題はまだまだ山積しているのですが、それでも多くの人たちの努力によって良い方向には向かっています。乳がん検診の受診率は日本が約15%、欧米諸外国では70%以上です。皆さんもこういう機会に、乳がん検診のあり方について考えてみて下されば幸いです。
6月は日本乳がん学会などもあり、私にとっては忙しい毎日、がんばります。

・増田先生のお便り・・・・「…慰められるよりは慰めることを、理解されるよりは理解することを、愛されるよりは愛することを、私が求めますように…」というお祈りの一節があります。簡単なようで難しい。こんなことを楽々できる人がいたら、神様と同じではないかと思ってしまいます。私達は出来ないからこそ人間なんだし、こんな祈りも存在するのだと思います。「人に愛情をあげなくては!なんて思わなくても、自分の愛の器がいっぱいになれば、自然と溢れ出てくるものだから。遠慮しないで、辛いときはたくさん皆から愛情をもらいなさい。あげることを考えないで、まずは自分の器を満たしなさい。いっぱいになったら自然に溢れ出すから…」と言われてから、私はなんだか安心して人の優しさを受け取って過ごせるようになり、元気を取り戻したことがありました。皆に迷惑をかけている自分が辛い、何かをしなくては、と焦っている患者さんに時々出会います。辛い時、余裕がない時、まずは自分を大切にすることが元気になる近道だと考えてみて下さい。貰った分の愛は必ず溢れて人に返せます。焦りすぎて余裕がないと、せっかく貰った愛に気付かないまま、器に愛が満たせません。ときには自分の心の器を覗いてみませんか? 
そんな心の余裕が、幸せを運んでくれる気がするのは私だけでしょうか…?(増田有祐子)


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