診療所通信
        Clinic News Paper
No.60
2004/7/2

/                 川上診療所
 この通信も60回になりました。つまり開院5年になったということです。たった5年、されど5年、と言うところでしょうか。医者になってかれこれ25年が過ぎようとしています。師匠の後ろに立って診察を見るだけ、患者さんにどう声をかけてよいかも分からず何も出来なかったあのころ。レントゲンやエコーの研究をやっても、ほとんど資料はなく、何度も患者さんの所に行っては「よく分からないのでもう一度診せて下さい」と言うばかり。情けないですね。手術(研修医の私は見ているだけ)が終わって、がんの組織を正式に調べて、その後またあれこれ悩んで、病室に行くのは消灯時間がとうに過ぎてしまってから。患者さんや家族の方の不安に何も答えられない。それでも患者さんはうっすらと目を開けて「先生、いいお医者さんになって下さいね」と言って下さった。ボクを医者に育ててくれたのは、教科書ではなくナマミの普通の患者さんたちです。きっと多くの先人達も同じなんだろうなあと、いま思うのです。
まだまだ未熟な、でも責任を感じる開院5年目の私です。

・5年間の実績は・・・・この1年間に約4200人の新患の方が来られました。開設のはじめから見るとのべ約13400人の新患数となりました。来院者数は開院当時、一日に20人ほどでしたが、今は80人くらいの方が来られます。ホームページのアクセス件数は約123000件(1年前は74000件でした)。昨年から行われた厚生労働省の乳がん検診見直しの影響もあってか、マンモグラフィ検診を希望される方が非常に増えたように思います。特に注目すべき点は、30才代の若い方の検診希望者が多くなったことです。日本の乳がん検診も一歩前進したなと感じます。診療所のスタッフ陣容は、副院長の宮内先生、専門医の橋本先生、アドバイザーとしての診療もされる小倉恒子先生、婦人科の赤倉早苗先生、甲状腺や内科疾患では布施まさみ先生、N先生、伴先生と診療体制の大きな変更はありませんが、若手の医師が研修に来るようになりました。意味のある診療活動を続けて行くこと、初心を忘れずにスタッフ一同、これからもがんばって参りたいと思います。
職員も若い人が増えたと感じるのは、要するにワタシが年をとったと言うことなのでしょうねえ。

・第12回日本乳がん学会・・・6月11日(金)・12日(土)の2日間、北九州市(小倉)で開催された日本乳がん学会に参加しました。私は、乳がんに関する千葉県内の看護師さんの勉強会を主催しているので、その活動について発表したのですが、久々の学会発表だったので少し緊張しました。診療所からは、宮内先生、橋本先生をはじめ、榊原先生や押田先生も参加されましたが、院長は「留守番」でした(診療所を閉めるわけにもいきませんし・・・院長談)。九州に行くのは初めてで、ガイドブックを買って、地理の勉強(?)も事前にして行きました。お目当ては、関門海峡と関門橋です。小倉から門司港までは電車で15分。そこから関門橋を見ることが出来ました。本州へは、トンネルを通って歩いて渡ることもできるそうです(全長780m、約13分)。本州と九州って本当に近いんですね。関門海峡の夜景は、とってもとっても綺麗でした。
関門海峡に、あの「巌流島」があるってご存じです?  阿部恭子(看護師)




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