診療所通信
        Clinic News Paper
No.53
2003/11/28

/                 川上診療所
 12月、皆さん体調を崩さずお過ごしですか。一年中元気いっぱいという方は、そうはいないと思いますが、私もスタッフもどうにか休まず年末を迎えることが出来ました。この1年を振り返れば、反省することしきりです。診療所にはどこか身体の具合が悪かったり、不安だったりして皆さん来院されるものですが、いっぱい待たせてしまって本当に申し訳ございません。待合いの椅子が足りなくて、検診で2時間近くお待たせして、大変心苦しいです。しかし、検査は絶対に手抜きをしてはならない、しっかり診るようにと常々指示しています。文字通り秒刻みのスケジュールなのですが、早口でまくし立てないように私も心がけています。この診療所のある意味を、年末にあたって今一度よく考えてみようと思います。皆様、どうぞ恙なく、新しい年をお迎え下さいますようお祈り申し上げます。
12月29日(月)から1月3日(土)まで休診とさせていただきます。ご了承下さいませ。

・乳がんと遺伝子・・・・ワシントン大学の研究チームの発表です。ある遺伝子の突然変異で、乳がんの危険性が高くなると。同チームは、ニューヨーク市の病院で、1000人以上の乳がん患者とその血縁者の遺伝子解析を行いました。その結果、乳がん患者の10%の人に、ある遺伝子(BRCA1とBRCA2)の突然変異が発見されたと報告しました。またBRCA遺伝子に変異のある女性では、血縁者に乳がんや卵巣がんの家系がある場合、乳癌になる可能性は80%と推計しました。しかし、1940年以前に生まれたBRCA遺伝子異常のある女性が、50歳までに乳がんになる可能性は24%であったのに対して、1940年以降に生まれた同様の女性では67%だったことも判明したそうです。このことは、遺伝子よりも運動や生活習慣によって、がんになる可能性が変わるということを示唆する結果で、研究チームも「生活における運動量の減少が、乳がんの増加に何らかの役割を果たしていそうだ。」と結んでいます。
要するに、戦後、食糧事情が良くなって肥満と運動不足の人が多くなり、乳がんが増えた、
とも読めますね、または、運命(遺伝子)は意志によって変えられる、とも言えるのかな。

・宮内副院長から・・・・現在、医師として診療所の外来をお手伝いするかたわら、僕にはブレストサービス社(乳がんに関する情報提供会社)の社長というもうひとつの顔があります。どんな会社か?少しご説明しましょう。簡単にいえば診察室の外で乳がん専門医が必要とされるシーンすべてが僕の職場になります。たとえば、患者さんの医療相談やセカンドオピニオンには十分な時間で応じますし、先生方や看護師さんなど病院のスタッフ相手には、手術や治療方針の指導、講習会で最新の乳がん医療をお伝えします。また抗がん剤などの製薬企業とは社内のスタッフ教育や製品資材つくりのアドバイザー契約を結び、マスメデイア相手には、患者さん向けの雑誌の誌上医療相談室を開設し、医療ドラマの医学監修などもお引き受けします。乳がん医療が正しく伝わる橋渡しをする会社ともいえましょう。医療相談に来られる患者さんにとっては情報という「処方箋」が、その他の方には僕の専門知識や経験が「商品」になるわけです。ユニークな会社でしょ。
私にも役立つのかしら?とお思いでしたら是非ホームページをご覧下さい。http://www.breast-service.com




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