診療所通信
        Clinic News Paper
No.52
2003/10/31

/                 川上診療所
 以前「千と千尋の神隠し」のお湯屋ことを書きましたが、こういう秋も深まる季節になると、自然の中の温泉が恋しくなりますね。最近は遠くに行かなくても温泉気分が楽しめる施設が出来てきて、先日、行って参りました。私の場合は、例によって自転車で子供と一緒に出かけます。所詮、大したことはないだろうとタカを括っていたのですが、意外にもたっぷり堪能してしまいました。「また来ようね!」「うん、そうだな」。帰り道のペダルは軽やかで吹く風も気持ちよくて、こりゃ「どこでもリゾート」だね・・。私の親友の宮尾先生(軽井沢病院長)は「どこでもホスピス」とよく言います。立派な施設がなくても、どこであっても血も通った医療はできるという意味。彼はまたリビングウィルの提唱者でもあります。リビングウィルというのは「自分に万一のことがあった場合を想定して書く意思表示」ということです。医者はどんな人にもその人に合った相応しい治療を組み立てようとするもの。エビデンスに基づいたハンドメイドの医療、と言いなおせば今風でカッコいいかも知れませんが。
持病の腰痛も良くなって、しかし回復期間が年々長くなっていく気がします・・。

・今後の乳がん検診は・・・・9月以降、新聞やテレビで乳がん検診のことが、多く取り上げられています。「見逃された人たち」「触診だけで良いのか」、センセーショナルな記事が連日のように報道されました。私のところにもたくさんの問い合わせや取材がありましたが、さて今後の検診はどうなるのでしょう。厚生労働省は、乳がん検診の具体的な見直しに着手し始めました。マンモグラフィ検診を現行の50歳以上から40歳以上に引き下げるもようです。また触診のみの30代に対しては、超音波検診の導入も検討されるようです。全国の各自治体では、準備の出来るとこらから順に実施されて行くものと思いますが、いづれにしても新しい検診体制が早く出来てほしいです。しかし質の良い検診とは、機械だけあればよいと言うものではないので、「自己検診」と「定期検診」とを続けることが、まずは大切だと思います。
マンモグラフィは、人によって違いますが、うわさほど痛くないですよ。

・転勤で退職することになりました・・・川上診療所の看護師として働き始めて、早1年10ヶ月が経ち、今では古株(?)となりました。ここで働くまでは、乳腺疾患の知識は少なくて、その看護経験もありませんでした。家の近く、というだけで勤務先を決めてしまったのですが、高度な診療内容にとても驚き、内心ヒヤヒヤしている私に、院長先生をはじめスタッフの方々の指導もあって「こんなに優秀なスタッフがいる職場ならがんばれる」と思えました。しかし気持ちとは裏腹にブランクのある私にとって、高度な知識を吸収していくことは大変でした。それでも日々の仕事の中で「笑顔」と「ていねいな説明」は心がけてきました。緊張した気持ちや不安な状態で来院する方々が、少しでも落ち着けたら・・・と思います。今日もそう思って仕事を続けています。夫の転勤で今月で退職することになりますが、これから先も「笑顔」と「ていねいな説明」を心がけていきたいと思っています。どうぞ皆様おだいじにお過ごし下さいませ。
中島智亜紀(看護師)
北海道に行っても、この診療所で得たことを生かして暖かい看護を続けて下さいね(院長)。




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