診療所通信
        Clinic News Paper
No.49
2003/8/1

/                 川上診療所
 皆さん、この夏いかがお過ごしですか? 私は今年も自転車旅行の予定が立たず(残念)コツコツと仕事をやっております。夏休み中の赤倉先生からお便りを頂きましたのでご紹介しましょう。「前略・・。子供が休みに入り生活のペースを保つのが難しいです。でも以前よりはだいぶ手が掛からないですが。太陽も、青空に浮かぶ白い雲も、生い茂る夏草や咲き誇るひまわりも、せみの声も、みんな強烈に主張する夏の季節ですが、一瞬プツリと現世とのつながりが切れて、非日常の世界に意識が迷い込むことがあります。ご先祖をお迎えするお盆や、怪談ばなしが夏のものであるのと関わりがあるかも知れません。綺羅という演奏家の「夏恋花」というCDをこのところ度々聴いています。どこか現実と違うところから聞こえてくるような、はかなくて柔らかい中に、ハッカ水のようなひんやりとした感じがあって、異次元との距離の近くなるこの季節に相応しい気がしています・・。」
いかにも女性らしい感性の赤倉先生(婦人科)ですね。みなさまに、暑中お見舞い申し上げます。

・「所内講習会」のご報告・・・・先月12日、開院4周年を記念して「所内講習会」を開きました。50名ほどの方が来られて、狭くて暑いなかでしたが、いい講習会でした。講師の上野さん(朝日新聞記者)は、ご自身の26才の時のがん闘病体験を、強く若々しく語ってくれました。絵門さん(元NHKアナウンサー)は、やはり闘病中のがんに対する心の動きをこまやかに明るくお話しされました。「これからは子供たちのために朗読やりたいな」という彼女の優しさに、私も心打たれました。病気は人をダメにしない。こんなに明るく強く優しくなれるんだ、と更に思いを深くしたところです。3人目の講師は私の同級生の宮尾先生(軽井沢病院院長)。リビングウィルやホスピスのお話でしたが、こう書くと硬くて難しい話しみたいですが、彼が話すとそうではなく心にすんなり入ってくる。その場にいなかった皆さんには、雰囲気をお伝えできなくてたいへん残念です・・・。
こういう講習会はまたやりたいと思いますので、次の機会をどうぞ楽しみにして下さい。

・宮内先生の一言・・・・「がんの代替療法は、治療効果が証明されていないので、お勧めできない」という言葉だけで、代替療法を頭ごなしに否定する医者は、患者さんが代替療法に走る本質を理解しようとしていない。副作用が強くて30%の効果しかない抗がん剤でも「大変だろうけど頑張ろう、絶対に良くなるから一緒に治療しよう」という医者の一言、医者の心ひとつで、患者さんにとっては100%の効果に等しく、150%の治療意欲を引き出し、200%の生きる希望につながることに、なぜ多くの「大先生」達は気づかないんだろうか。現在ある西洋医学に基づく薬や治療法が「不満足」だから、患者さん達が代替療法に走るのではなく、患者さんに対する「人としての気持ち」が自らの診察室に足りないことが、患者さんを代替療法に駆り立てていることを理解していない医師が、なんと多いことか。臨床試験の結果、もし仮に「アガリクスには効果なし」という結論が出ても、「お寒い大先生」がいる限り、患者さん達はアガリクスやめないだろうな・・・。
6月28日の千葉乳腺疾患研究会に出席して。 宮内 充(副院長)




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